ゴンドラの唄 |
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いのち短し、戀せよ、少女、 朱き唇、褪せぬ間に、 熱き血液の冷えぬ間に、 明日の月日のないものを。 いのち短し、戀せよ、少女、 いざ手を取りて彼の舟に、 いざ燃ゆる頬を君が頬に、 ここには誰も來ぬものを。 いのち短し、戀せよ、少女、 波にたゞよひ波の樣に、 君が柔手を我が肩に、 ここには人目ないものを。 いのち短し、戀せよ、少女、 黒髪の色褪せぬ間に、 心のほのほ消えぬ間に、 今日はふたゝび來ぬものを。 |
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1915年、芸術座の演劇公演「その前夜」の劇中歌として書かれたものです。ツルゲーネフ原作のこの戯曲、舞台の一部にヴェネチアがあり、そこで歌われる舟歌ということでこの「ゴンドラの唄」が挿入されました。ネットやら楽譜やら色々見てみると結構歌詞の表記にぶれがあります。ここではこの歌に惹かれて大部に渡る研究をされ、その成果を一般書にまでまとめた相沢直樹氏の「甦る『ゴンドラの唄』」(新曜社)に記載のある吉井オリジナルとされる歌詞を転記させて頂きました。本をお読み頂くのが一番ではありますが、この方の「ゴンドラの唄」にこだわったサイト
http://www-h.yamagata-u.ac.jp/~aizawa/mat/gondola-nakanune_ent.html
だけでも結構有用な情報に溢れておりますので、この歌にご興味のおありの方は必見ではないかと思います。
以前この曲の歌詞の元になったのではないかと、ヘリックの英詩を取り上げたことがありましたが、そこでも言及したアンデルセンがやはり元になったのではという説が今は強いようです。
Gather ye rosebuds while ye may バラのつぼみは集められる時に集めよ 詞:ヘリック
大昔の記事ですがご参考まで。
( 2016.12.03 藤井宏行 )