Que lejos ando |
こんなに遠くに |
Que lejos ando de mi tierra por aquí ando buscando un amor que ya perdí, si no lo encuentro mañana me voy de aquí, a buscar otro,pues qué amo pues como me quedo así Esta canción se las canto a mis amigos y se las canto para que se acuerden de mí si no lo encuentro mañana me voy de aquí pues soy de lejana tierras soy de San Luis Potosí |
遠く歩いて来てしまった 私の故郷から離れて なくしてしまった愛を探して もし見つからなければ 明日にはここを去ろう 別のを見つけるために なぜなら私は愛し なぜならそうせずには居られないから この歌を私は友のために歌おう この歌で私を思い出してくれるように もしここで見つからなければ 明日にはここを去ろう 私はあの遠い土地から来たのだから 私はサン・ルイス・ポトシから来たのだから |
メキシコの作曲家マニュエル・ポンセは、ギターやヴァイオリンなどの独奏、あるいは管弦楽などに編曲されて親しまれている歌曲「エストレリータ(小さな星)」ただ1曲によってのみ名前が残っているといっても過言ではないかも知れません。でもクラシックの作曲家として他にも美しいピアノ曲や管弦楽の作品(名ヴァイオリニスト、ヘンリク・シェリングが弾いたヴァイオリン協奏曲なんていうのも録音があります)などで、メキシコの民族的な情緒と、西欧の洗練とをうまく溶け合わせた、詩情あふれる作品をいろいろ書いており、私はラテンアメリカの作曲家の中でも指折りの抒情家ではないかと個人的には思っています。
そんなわけで私はポンセの歌曲は今までずいぶんと探していたのですが、代表作「エストレリータ」すら歌われたものはほとんど見かけない始末。
(器楽に編曲したものはけっこうありますが)
それで今回、柳貞子さんのCDで思いがけなくポンセの歌曲に接することができてとてもうれしいものがありました。
曲はあこがれに満ちた、ゆったりとしたテンポの美しい歌。アルベニスの名曲「タンゴ」を思わせるような魅力的なメロディです。ラテン音楽の情緒も感じさせながら、繊細なポンセの音楽の持ち味も生きている。「エストレリータ」も素敵ですがこの歌も素敵です。彼の歌曲集を誰か録音してもらえないものでしょうかね。
( 2004.09.09 藤井宏行 )