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Ich esse nun mein Brot nicht trocken mehr    
  Italienisches Liederbuch
私はもう濡れていないパンを食べることはありません  
     イタリア歌曲集

詩: ハイゼ (Paul Heyse,1830-1914) ドイツ
    Italienisches Liederbuch-Rispetti 103 Ich esse nun mein Brot nicht trocken mehr 原詩:イタリア詞

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Ich esse nun mein Brot nicht trocken mehr,
Ein Dorn ist mir im Fuße stecken blieben.
Umsonst nach rechts und links blick' ich umher,
Und keinen find' ich,der mich möchte lieben.
Wenn's doch auch nur ein altes Männlein wäre,
Das mir erzeigt' ein wenig Lieb' und Ehre.
 Ich meine nämlich,so ein wohlgestalter,
Ehrbarer Greis,etwa von meinem Alter.
 Ich meine,um mich ganz zu offenbaren,
Ein altes Männlein so von vierzehn Jahren.

私はもう濡れていないパンを食べることはありません。
トゲが私の足に刺さってしまったのです。
徒に右へ左へ見回してみたのですが、
私を愛してくれる人はどこにも見当たりません。
私にちょっとした愛と敬意を表してくれる
年配の男性でもいないかしら。
 つまり私が言いたいのは、とっても格好よくて
尊敬に値する年配の方、と言ってもあたしと同い年ぐらいのね。
 つまり、本当のことを言っちゃうと、
年配の男っていうのは、十四歳の人なのよ。


この曲は第2部の最初に作曲された。第1行の「trocken」は、最初はパンに何も塗っていないことだと思っていたが、LPの解説を読んで謎が解けた。
主人公の女性は自分を愛してくれる男性がどこにも見つからなくて涙にくれていたのである。泣きながらかじるパンには涙がしみわたるという事らしい。
多感な年頃の少女が打ち明ける話にヴォルフはチャーミングな曲を付けた。
前半4行の訴えかけでは十四歳の少女とは思えないほどの大人びた表情を聞かせるかと思うと、後半は一転してあっけらかんと等身大の乙女心のときめきを歌っている。その大人と子供の両面を持った微妙な年頃の雰囲気をヴォルフはとてもうまく描いている。

マティス&エンゲル:前半と後半の表情の対比がうまく、一言一言が実にチャーミング。エンゲルの演技力も見事。
アーメリング&ゲイジ:3行目のUmsonst(徒に)のヴィブラートの加減の仕方や4行目のkeinenの声色の使い方など、生き生きとした説得力のある表現を聴かせる。
ほかにツィーザク&アイゼンローアや、ボニー&パーソンズがいい演奏だった。

( 2004.4.04 フランツ・ペーター )


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