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Ein Ständchen Euch zu bringen kam ich her    
  Italienisches Liederbuch
セレナードを捧げにわたくし参りました  
     イタリア歌曲集

詩: ハイゼ (Paul Heyse,1830-1914) ドイツ
    Italienisches Liederbuch-Rispetti 76 Ein Ständchen Euch zu bringen kam ich her 原詩:イタリア詞

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Ein Ständchen Euch zu bringen kam ich her,
Wenn es dem Herrn vom Haus nicht ungelegen.
Ihr habt ein schönes Töchterlein. Es wär'
Wohl gut,sie nicht zu streng im Haus zu hegen.
Und liegt sie schon im Bett,so bitt' ich sehr,
Tut es zu wissen ihr von meinetwegen,
Daß ihr Getreuer hier vorbeigekommen,
Der Tag und Nacht sie in den Sinn genommen,
Und daß am Tag,der vierundzwanzig zählt,
Sie fünfundzwanzig Stunden lang mir fehlt.

セレナードを捧げにわたくし参りました、
お宅のご主人様にご迷惑でなければの話ですが。
お宅には美しいお嬢さんがいらっしゃいますね、 
あまり厳しくお家に閉じ込められない方がよろしいかと存じます。
お嬢さんがもうベッドでお休みになられているのでしたら、お願いがございます、
わたくしの為に伝えていただけないでしょうか、
あなたの僕(しもべ)たる者がこちらに立ち寄らせていただいたこと、
そして昼夜を問わず、あなたのことばかり考えておりますこと、
それから、一日は二十四時間なのに、
もう二十五時間もあなたにお会いしていないということを。


前々曲で彼氏の歌うセレナードを聴きながらも逢うことを親に禁じられてベッドの中で泣きじゃくる女性が歌われていたが、この曲では女性と逢うために親を説得しようとする男の立場で歌われており、前曲の女性の焦燥感と共によく考えられた曲の配置と言えるだろう。
ブラームスの「日曜日」では一週間逢えない寂しさが歌われていたが、こちらは離れてからたった一日プラス一時間だけなのにこの騒ぎである。
これまでいかに寸暇を惜しんで逢瀬を重ねてきたかが想像される。
リズミカルなセレナードの調べにのって、第一部の最後を締めくくるに相応しい演奏効果をもったコミカルな作品である。

スゼー&ボールドウィン:スゼーの声と語り口は、この詩の軽いプレイボーイの表現に見事にはまっている。後半以降のボールドウィンの畳み掛けるような表現力の素晴らしさが印象的。
クラウセ&ゲイジ:言葉巧みに恋人の父親を言い含める下心の見え隠れする感じがとてもよく出ている。
ほかにF=ディースカウ&ムーアやベーア&ドイチュなどはうまさで聴かせる。先日94歳で他界したハンス・ホッターもこの曲を得意にしていた。

( 2003.12.28 フランツ・ペーター )


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