Symphony No. 24,Majnun Op.273 |
交響曲第24番 マジュヌーン |
One who traveled in the desert Saw Majnun where he was sitting All alone like a magician Tracing letters in the sand. “O distracted lover,writing What the sword-wind of the desert Undeciphers so that no one After you shall understand.” Majnun answer'd. “I am writing Only for myself,and only Layla, Writing in that word a volume Over which forever poring, From her very name I sip in fancy Till I drink her lip.” Chorus: “Only Layla” “I am writing Only for myself,and only Layla, |
この砂漠を旅する者は 誰でもマジュヌーンを見たのだ 彼が座っていた場所に それはただ 魔術師が 砂の中に文字を画いているように 「おお気まぐれな恋する者よ 書いているな 砂漠の剣の風が 読めなくして もはや誰も お前の後には分からなくなっているものを」 マジュヌーンは答える 「私は書いているのだ ただ自分のために ただレイラのために 書いているだ あの言葉で一巻の書物を それを繰り返し永遠に熟読する 彼女のまさにその名から私は空想をすする 彼女の唇を飲み干すまで」 コーラス: 「ただレイラのため」 「私は書いているのだ ただ自分のために ただレイラのために」 |
膨大な数の作品を書いたホヴァネスですから、声楽付の交響曲なんてのもありました。ペルシャの悲恋物語「サラマーンとアブサル」より主人公の男マジュヌーン(物狂い)となった王子にスポットをあてています。マジュヌーンにはテノールのソロをあて、それに合唱が絡みます。ほのかにオリエンタルの響きも感じられてなかなか面白いのですが何度も聴きたいと思わせてくれるほど個性的か?というとそこまでの圧倒的な個性はありませんでしたけれども。聴いている間はとても心地よく(眠く?)なれるのがホヴァネスの音楽の魅力でしょうか。ところでここに出てくる女性の名レイラですが、フォーレが曲をつけたルコント・ド=リルの詩「イスファハンのバラ」にも登場します。本拠地ペルシャだけでなく、広く西洋全体に知れ渡っているお話なのですね。
( 2016.10.24 藤井宏行 )