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L'île heureuse    
 
幸福の島  
    

詩: ミカエル (Éphraïm Mikhaël,1866-1890) フランス
      

曲: シャブリエ (Alexis Emmanuel Chabrier,1841-1894) フランス   歌詞言語: フランス語


Dans le golfe aux jardins ombreux,
Des couples blonds d'amants heureux
Ont fleuri les mâts langoureux
De ta galère,
Et,caressé de doux été,
Notre beau navire enchanté,
Vers des pays de volupté:
Fend l'onde claire!

Vois,nous sommes les souverains
Des lumineux déserts marins,
Sur les flots ravis et se reins
Berçons nos rêves!
Tes pâles mains ont le pouvoir
D'embaumer au loin l'air du soir,
Et,dans tes yeux,je crois revoir,
Le ciel des grèves!

Mais là-bas au soleil,
Surgit le cher pays vermeil
D'où s'élève un chant de réveil
Et d'allégresse;
C'est l'île heureuse aux cieux legers
Où,parmi les lys étrangers,
Je dormirai,dans les vergers
Sous ta caresse!

日の翳った庭のある入江で
幸せそうな恋するブロンドのカップルたちが
憂鬱そうなマストを花で一杯にします
あなたのガレー船の
そして、やさしい夏に抱かれて
私達の美しい魔法の船は出発します
喜びの国に向けて
澄んだ波を乗り越えながら

ほら、私達はなんでもできる
光り輝く大海原の中
喜びに満ち清らかな波に抱かれて
私達の夢を揺らしましょう!
あなたの白い手には力が備わっています
この夕暮れの空気を香しいものにする力が
そしてあなたの目の中には光があります。
浜辺で輝く空を思い出させる

でも、あの遠くの太陽の下
素敵な光り輝く島影が立ち現れ
そこから聞こえてきます、目覚めの歌、
そして喜びの歌が;
そこは美しい空のある幸福の島
エキゾチックな花々に囲まれて
私はまどろむのです、果樹園の中
あなたの腕に抱かれて!


シャブリエのそれほど多くない歌曲は、しかしながらどれも魅力的なユーモアと美しさに満ち溢れていますが、その中でもこの歌の素晴らしさは何と形容したら良いのでしょうか。
詩はなんだか象徴的で、訳していてもうまく意味が取れないところが多かったので思いっきり意訳してしまいました。真夏のリゾート、ブーケットやバリに出かけるカップルというイメージですがいかがでしょうか?
こんな詩に、シャブリエはとても気品溢れるメロディを付けました。
こういう上品な味わいはフランス歌曲ではモラーヌのバリトンで聴くのが最高なのですが、残念ながら私は録音の存在を知りません。
ラプラントの全集も悪くないのですが、ユーモラスな他の歌曲に比べると少々力不足かと。
最近見つけて気に入っているのは、ドミニク・ヴィスのカウンターテナーの録音(King)で、妖しさと気品の絶妙のバランスが心地よい傑作です。他にもシャブリエの歌曲が何曲か録音されていてそれらも大傑作だと思いますので、シャブリエ歌曲のファンの方はぜひ耳にしてみてください。

( 2001.07.21 藤井宏行 )


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