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みたまにつづく    
 
 
    

詩: 清水かつら (Shimizu Katsura,1898-1951) 日本
      

曲: 中山晋平 (Nakayama Shinpei,1887-1952) 日本   歌詞言語: 日本語


南の海の雲衝いて
日の丸光る先駆けの
翼は強く敵を撃つ
みいくさぶねの旗頭

お勤め励む常の日も
戦の構え大君の
御楯にたける波越えて
導く空の花と散る

みたまにつづく海の子の
恨みは燃えてZ旗に
撃ちてし止まん空へ行く
雲染む屍越えて行く



清水かつら作詞・中山晋平作曲の曲というのはコンビとして相性が良くなくてほとんどないのかと思っておりましたら、実は清水の詞の中でも中山が曲をつけたものは50曲にものぼり一番多い作曲家なのだそうです。にも拘わらずほとんど世に知られたものがないのは本当に相性が良くなかったのかはたまた時代の巡り会わせか。清水の最も腕が冴えていた大正期にはもっぱら弘田龍太郎や草川信と仕事をしていて、この当時に書かれたものがもっぱら今に残っていることを見ると、それ以降にした中山との仕事はなかなか目立ちにくい運命にあったのかも知れません。
そんな清水・中山コンビの1曲ですが、詞をご覧頂くとお分かりのようにこれは戦争中に書かれたかなり特殊な歌です。この曲、副題に「山本元帥に誓ふ」とあるように、昭和18年戦死した山本五十六海軍大将(死後元帥に昇進)を追悼する歌なのです。従って清水かつらの持ち味とも、中山晋平の持ち味ともかけ離れた悲壮な軍歌調の歌とせねばならず、残念ながら記憶に残るものとはならなかったように思えます。Victorから2015年にリリースされた「日本の軍歌アーカイブVol.4 戦時下の少女歌謡1929−1943」で当時の少女歌手たちによって吹き込まれた録音の復刻を耳にすることができました。

( 2016.10.02 藤井宏行 )


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