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Mir ward gesagt,du reisest in die Ferne    
  Italienisches Liederbuch
遠いところに旅立つそうね  
     イタリア歌曲集

詩: ハイゼ (Paul Heyse,1830-1914) ドイツ
    Italienisches Liederbuch-Rispetti 2 Mir ward gesagt,du reisest in die Ferne 原詩:イタリア詞

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Mir ward gesagt,du reisest in die Ferne.
Ach,wohin gehst du,mein geliebtes Leben?
Den Tag,an dem du scheidest,wüßt' ich gerne;
Mit Tränen will ich das Geleit dir geben.
Mit Tränen will ich deinen Weg befeuchten -
Gedenk an mich,und Hoffnung wird mir leuchten!
Mit Tränen bin ich bei dir allerwärts -
Gedenk' an mich,vergiß es nicht,mein Herz!

遠いところに旅立つそうね。
ああ、どこへ行ってしまうの、いとしい命(ひと)。
お別れの日を教えてちょうだい、
そうしたら旅のお供にあたしの涙をさしあげるわ。
この涙はあなたの行く道をしとど濡らすでしょう。
あたしのことを思っていてね、そうしたら希望があたしを照らしてくれるから。
この涙を通じて、あたしはいつもあなたのそばにいるの。
あたしのことを思っていて、どうか忘れないで、いとしい心(ひと)!


この曲がハイゼの訳による「イタリア歌曲集」の中で最初に作曲された(1890年
9月25日)。この歌曲集の作曲は途中で4年以上もの中断の時期があり、曲想の
枯渇と闘いながらの難産の末に46曲の傑作がうまれた。
かつて愛し合った恋人が女性のもとを去っていくことを人づてに聞き、涙ながら
に状況を受け入れざるをえない心境を歌ったこの曲は、短いが感動的である。
歌が同音の繰り返しから上行する一方、ピアノの左手の線は下降していき、あた
かも彼女の元を離れていく距離を暗示しているようである。
ピアノは常に8分音符を刻むが、最後の1行で動きが止まり、ピアノの後奏がこ
れまでの下行から上行に変わり、彼女の祈りが通じたかのようだ。(2003.8.31)
  
シュヴァルツコプフ&ムーア:ゆっくりとしたテンポで深い思いのこもった感動
的な演奏。
アーメリング&ボールドウィン:巧みな声色と語り口で切なさが伝わってくる。
マティス&エンゲル:けなげな女心がうまく表現されている。
アップショー&ドイチュ:切実な様子がよく出ていて良かった。
ベルガー&ヴァイセンボルン:ゆるぎのないまっすぐな表現が聴き手に強く訴え
かけてくる。
ボニー&パーソンズの息遣いの表情や、ルートヴィヒ&バレンボイムの芸の熟練
にも感動されられる。(2004.11.27追記)

( 2004.11.27 フランツ・ペーター )


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