How doth the little crocodile Nonsense Songs: The Songs That Came Out Wrong |
なんとちっちゃいワニさんが ナンセンスソングス:間違って登場した歌ども |
How doth the little crocodile Improve his shining tail, And pour the waters of the Nile On every golden scale! How cheerfully he seems to grin, How neatly spreads his claws, And welcomes little fishes in, With gently smiling jaws! |
なんとちっちゃいワニさんが みがいています 自分のぴかぴかのしっぽを それからふりかけます ナイルの水を ぜんぶの金いろのうろこの上に! なんてうれしそうに にやり と笑うんでしょう なんてさっぱりと広げるのでしょう かぎづめを そしてお出迎えです ちいさな魚たちを中へと やさしく笑ってるあごで! |
ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」の中にたくさん散りばめられたナンセンスな、しかしどこか深みのある詩には、意外なことにそれほど多くのメロディはつけられていないようです(たぶん試みた人は無数にいたのでしょうけれども、歴史に残るものはほとんどないような)。イギリス19世紀の女性作曲家レーマンのものもその意味では決して歴史に残ったとは言えないのかも知れませんが、最近の録音でもごくたまに耳にすることができ、またいくつかの曲はYoutubeにもパフォーマンス付きでアップされていたりと、完全に忘却されてはいないようです。何より彼女の才気が実に生き生きとこれらの歌詞に生命力を吹き込んでいますので、全8曲 ここでご紹介することに致しましょう。ソプラノ・アルト・テナー・バスの声楽四重唱曲です。
1曲目は「不思議の国のアリス 第2章」より。不思議な世界に迷いこんだアリスがウサギに向かって「なんと働きもののハチさんが」というイギリスではよく知られた詩を口ずさもうとしてなぜか口から出て来てしまうナンセンスな詩です。
残念ながら音源が見つからず音となったものは聞くことができませんでしたが、IMSLPで楽譜を見ることができました。イギリス女性らしく気品のあるメロディでこのしょうもない(褒めてます)歌詞をなぞるのはなかなかのインパクト。ぜひ音になっているものを聴いてみたいものです。
( 2016.08.09 藤井宏行 )