城ヶ島の雨 |
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雨はふるふる、城ヶ島の磯に、 利休鼠の雨がふる。 雨は眞珠か、夜明の霧か、 それともわたしの忍び泣き。 舟はゆくゆく通り矢のはなを、 濡れて帆あげたぬしの舟。 ええ、舟は櫓でやる、櫓は唄でやる、 唄は船頭さんの心意氣。 雨はふるふる、日はうす曇る。 舟はゆくゆく、帆がかすむ。 |
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白秋が詩を書いた1913年に梁田がメロディをつけ、その年に作曲者自身の歌で初演されています。のちに山田耕筰や橋本國彦も歌にしていますが、今に至るもこの梁田の曲がこの詩につけた歌では代表曲と言えましょう。日本歌曲でも指折りの傑作と言っても良いかも知れません。
( 2016.07.27 藤井宏行 )