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おてもやん    
 
 
    

詩: 日本民謡 (Minyou,-) 
      

曲: 坂本良隆 (Sakamoto Yoshitaka,1898-1968) 日本   歌詞言語: 日本語


おてもやん 
あんたこの頃嫁入りしたではないかいな
嫁入りしたこたしたバッテン
御亭主(ごてどん)が菊石平(ぐじゃっぺ)じゃっけん
まァだ盃ァせんじゃった
村役 鳶役 肝入どん
あん人達の居らすけんで
後はどうなとキャアなろたい
川端町ツァン キャア巡ろい
春日南瓜(ぼうぶら)どん達ァ
しりひっ張って 花盛り花盛り
「ピィチクパァチク 雲雀の子
 ゲンバク茄子の イガイガドン」

一つ山越え も一つ山越え 
あの山越えて
あたしゃあんたに惚れとるばい
惚れとるバッテンいわれんたい
追い追い彼岸も近まれば
若もん衆も寄らんすけん
熊本(くまんと)のヨジョモン詣(みゃあ)りに
ゆるゆる話も きやァしゅうたい
男振りにや惚れんばな
煙草入れの銀金具(ぎんなぐ)が
それがそもそも因縁たい
「アカチャカベッチャカ
 チャカチャカチャ」



有名な熊本の民謡、ここでは坂本が編曲したものと思われる歌詞(関定子さんのCDのリブレット)を転記しました。おてもやんというのは昔私が見た解説では十人並みの不美人だと言われていたようですが、本当のところはどうも人名の呼びかけ(「ても」さん)のようです。菊石平とはアバタ面のこと。嫁入りしたけれど亭主の顔が気に食わなかったから固めの盃は交わさなかった、村役さんとかがいるんで何とかなるでしょ、と結構強かな女性を描いていますね。このあとの川端町云々からはあまり意味のない掛け声でしょう。「川端町あたりを巡ったら、春日カボチャが花盛りだった」とか。二番の「ヨジョモン」とは夜聴聞のこと。彼岸の寺参りで惚れた男と話ができるだろうという女心を、しかしながら実に軽快に歌い飛ばしています。
坂本良隆の編曲はユーモラスながら、ちょっとした品の良さも醸し出してなかなかです。

( 2016.07.23 藤井宏行 )


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