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Eide,so die Libe schwur    
  Spanisches Liederbuch(Weltliche Lieder)
世俗歌曲第10曲「愛が宣誓したって」  
     スペイン歌曲集_世俗歌曲集

詩: ハイゼ (Paul Heyse,1830-1914) ドイツ
    Spanisches Liederbuch - 2. Weltliche Lieder(スペインの歌の本 2.世俗歌曲) 62 Eide,so die Libe schwur 原詩:スペイン詞

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Eide,so die Liebe schwur,
schwache Bürgen sind sie nur.
Sitzt die Liebe zu Gericht,
dann,Señor,vergeßet nicht,
daß sie nie nach Recht und Pflicht,
immer nur nach Gunst verfuhr.

Eide,so die Liebe schwur,
schwache Bürgen sind sie nur.
Werdet dort Betrübte finden,
die mit Schwüren sich verbinden,
die verschwinden mit den Winden,
wie die Blumen auf der Flur.

Eide,so die Liebe schwur,
schwache Bürgen sind sie nur.
Und als Schreiber an den Schranken
seht ihr nichtige Gedanken.
Weil die leichten Händlein schwanken,
schreibt euch keiner nach der Schnur.

Eide,so die Liebe schwur,
schwache Bürgen sind sie nur.
Sind die Bürgen gegenwärtig,
allesamt des Spruch's gewärtig,
machen sie das Urteil fertig;
vom Vollziehen keine Spur!

Eide,so die Liebe schwur,
schwache Bürgen sind sie nur.

愛が宣誓したって
頼りになる証人になりはしないわ
もし法廷に愛が出廷してきたら、
さあお兄さん思い出すのよ
そいつは今まで正義や権利のために何かしたことなんかなく
いつだって誘惑の奨励ばかりやってきたってことを

愛が宣誓したって
頼りになる証人になりはしないわ
信じてしまう哀れな人がいても
愛の誓いが二人を結びつけたと
そんなものは風に吹かれる花びらのように
はかなく消えてなくなるのよ

愛が宣誓したって
頼りになる証人になりはしないわ
そして裁判所の書記だって
下らない思いつきばかりの証言に
その手はぶるぶる震え
まともな議事録なんか書けやしない

愛が宣誓したって
頼りになる証人になりはしないわ
証人たちが席に着いて
皆が評決を求めれば
即座に宣告が下されることでしょう
「その証言に信用性は認められ難し!」

愛が宣誓したって
頼りになる証人になりはしないわ

曲集の中でも最も訳しにくい奇妙な詩のひとつです。まずこの「愛」を特定の恋人(語り手の)ととるか、それとも一般論ととるかで既存の訳は二種に別れます。しかし第1節二行目で「さあお兄さん」(さあ旦那)と呼びかけていることで、第三者に対して一般論の形で教訓を垂れている内容と解釈できると思います。第三節の書記を「愛」が務めるという解釈の訳もあるのですが、そうするとますます訳がわからなくなりますし、「愛」を証人とする裁判の進行(被告は「お兄さん」?)というストーリーと考えて訳しました。また、参照した既存の訳は明らかに男性の立場か、それをうかがわせる物でしたが、三種聞いた演奏はいずれも女声だったので女言葉にしてみました。

シュヴァルツコップとドボジーは説教調というより自分の悲劇を一般化して嘆くといった調子の歌になっていますが、オッターはより第三者的で、大げさにユーモラスに愛の不実を説いています。これが正解ではないでしょうか。

( 2003.5.17 甲斐貴也 )


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