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Ach,wie lang die Seel schlummert!    
  Spanisches Liederbuch(Geistriche Lieder)
聖歌曲第8番『ああ、なんと長く魂は眠っていたことか!』  
     スペイン歌曲集_聖歌曲集

詩: ガイベル (Franz Emanuel August Geibel ,1815-1884) ドイツ
    Spanisches Liederbuch - 1. Geistliche Lieder (スペインの歌の本 1.聖歌曲) 8 Ach,wie lang die Seel schlummert! 原詩:スペイン詞

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Ach,wie lang die Seele schlummert!
Zeit ist's,daß sie sich ermuntre.

Daß man tot sie wähnen dürfte,
also schläft sie schwer und bang,
Seit sie jener Rausch bezwang
Den in Sündengift sie schlürfte.
Doch nun ihrer Sehnsucht Licht
Blendend ihr in's Auge bricht:
Zeit ist's,daß sie sich ermuntre.

Mochte sie gleich taub erscheinen
Bei der Engel süßem Chor:
Lauscht sie doch wohl zag empor,
Hört sie Gott als Kindlein weinen.
Da nach langer Schlummernacht
Solch ein Tag der Gnad' ihr lacht,
Zeit ist's,daß sie sich ermuntre.

ああ、なんと長く魂は眠っていたことか!
今こそ目を覚ます時が来たのだ

死んでいるのかと思えるほどに
その眠りは辛く不安だった
罪の毒に浸りそれを嘗め
酩酊に打ち負かされてから
だが今まばゆい憧れの光が
わたしの瞳を開いてくれた
今こそ目を覚ます時が来たのだ

天使たちの甘美な合唱も
まるで聞こえないように思えていた
だがおずおずと空の高みに耳を澄ますと
幼子が泣くかのような神の声が聞こえてきた
長い眠りの夜の後で
かくも恩寵に満ちた昼がわたしに笑いかける
今こそ目を覚ます時が来たのだ


メーリケの詩による歌曲を思わせるヴォルフお得意の目覚めの歌です。無名詩ですが、この曲集の中では優れたもののひとつに数えられると思います。ヴォルフの作曲もそれに比例してか、印象に残るものになっています。録音は多くないようで、フィッシャー=ディースカウの新旧二種とベーア以外ではレーガーのオルガン伴奏版しか手元にありませんでした。エアチェックながら白井さんの92年のライブ録音が聞けたのは幸いでした。

フィッシャー=ディースカウと白井さんのは、そのメーリケ歌曲の「癒えた者が希望に寄せる歌」「明け方に」での歌唱を思わせる緊張度の高い歌です。ベーアはより穏やかですが、安らぎを感じさせて好ましいです。オルガン伴奏版も楽しく聞けます。

( 2003.3.23 甲斐貴也 )


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