Henrik Wergeland Op.58-3 Norge |
ヘンリク・ヴェルゲラン ノルウェー |
Vandrer jeg i granskogen stille, hører livets sus,det tungsindsmilde, bjeldeklangen,som en vemodstrille lyde dæmpet over kjærnets vand, da et suk i stilheden jeg fanger, skogen sørger for sin tabte sanger, Norges skytsånd,Henrik Wergeland! Stolte billed på vort vårlivssage, bolde kjæmper i de onde dage, du,hvis stærke skuldre uden klage tog vor byrde og til død holdt stand! Skjønne morgengry,du signet være! Hjertet svulmer ved dit livsdigts ære, Norges skytsånd,Henrik Wergeland! |
私が静かなトウヒの森をそぞろ歩く時 聞こえてくる 命のざわめきが 悲しく穏やかな 鐘の音だ 憂いに満ちた声となって にぶく響いている 池の水を超えて それからすすり泣きが 静けさの中に聞こえてくる 森が悼んでいるのだ 亡くした歌い手のことを ノルウェーの守り神 ヘンリク・ヴェルゲランを! 我らが春の物語の誇らしきイメージ 悪しき日々の勇敢な戦士 あなたは その強い肩で不平も言わず われらの重き荷を背負い 死ぬまで耐え続けた 美しき夜明けよ あなたに祝福あれ! 心は高鳴る あなたの命の詩の栄光のもとで ノルウェーの守り神 ヘンリク・ヴェルゲランを! |
この歌曲集の中では一番有名でよく演奏される歌でしょう。管弦楽伴奏にも編曲されているので、単独で取り上げられることも多いです。ヘンリク・ヴェルゲラン(Henrik Wergeland;1808‐1845)はノルウェー大使館のサイトによれば、ノルウェーの詩人・啓蒙家で、ノルウェー独自の文化を大切に推進した人なのだそうです。グリーグがOp.18の最終曲で讃えているSebastian Welhaven(1807-1873)のデンマーク文化との繋がりを大事にする立場の一派とは論争を重ねていたのだとか。ロマンティックな詩と、フランス革命の影響を受けた自由主義思想がバックボーンであったのだそうです。生没年を見るとかなり若くして亡くなってしまったようですね。
冒頭から絶え間なく響くうねりは彼の死を悼む鐘の音でしょうか。決して悲しくなることなく、決然となるその響きは心を打ちます。確かに単独で取り上げられるだけの傑作です。
( 2016.03.21 藤井宏行 )