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Mühvoll komm ich und beladen    
  Spanisches Liederbuch(Geistriche Lieder)
聖歌曲第7番『辛苦と心労の末にわたしは来たのです』  
     スペイン歌曲集_聖歌曲集

詩: ガイベル (Franz Emanuel August Geibel ,1815-1884) ドイツ
    Spanisches Liederbuch - 1. Geistliche Lieder (スペインの歌の本 1.聖歌曲) 7 Mühvoll komm ich und beladen

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Müh'voll komm' ich und beladen,
nimm mich an,du Hort der Gnaden!

Sieh,ich komm' in Tränen heiß
mit demütiger Geberde,
dunkel ganz vom Staub der Erde.
Du nur schaffest,daß ich weiß
wie das Vließ der Lämmer werde.
Tilgen willst du ja den Schaden
dem,der reuig dich umfaßt;
nimm denn,Herr,von mir die Last,
müh'voll komm' ich und beladen.

Laß mich flehend vor dir knie'n,
daß ich über deine Füße
Nardenduft und Tränen gieße,
gleich dem Weib,dem du verzieh'n,
bis die Schuld wie Rauch zerfließe.
Der den Schächer du geladen:
“Heute noch in Edens Bann wirst du sein!”
O nimm mich an,du Hort der Gnaden!

辛苦と心労の末にわたしは来たのです
わたしを受け入れてください、慈悲深い救い主よ!

ご覧ください、わたしは地上の埃に薄黒くまみれ
身を縮ませ、熱い涙を流しながらやって来ました
あなただけがわたしを子羊の毛皮のように
純白にすることができるのです
あなたは悔悟の涙にくれ、あなたにすがる者の傷が
癒えることを望まれる方
主よ、わたしのこの重荷を
どうぞ取り除いてください
辛苦と心労の末にわたしは来たのです

あなたの足元に膝を折り
乞い願わせてください
香油と涙を注ぎ
あなたが赦した女と同じように
この罪が煙のように消えてゆくまで
あなたは盗賊に呼びかけられた
「今日にもおまえたちは わたしとともにエデンの園にいるだろう!」と
おお、わたしを受け入れてください 慈悲深い救い主よ!


ひたすら救いを求める悲痛な詩ですが、この作詩者はガイベルの変名、つまりガイベル自身の作である可能性があるとのことです。「わたしを受け入れてください」は「わたしの願いをかなえてください」にしようかとも思いましたが、日本の信徒は直訳の「受け入れてください」をそのまま使っているとのことなので原文に忠実なそれを採用しました。言うまでも無く「あなたが赦した女」は「マグダラのマリア」のエピソード、「盗賊」はゴルゴダの丘でイエスとともに十字架にかけられ処刑された二人の盗賊を指します。

ヴォルフの付曲は「非常にゆっくりと荘重に」と指定されて重苦しく進んでいきますが、イエスの盗賊への呼びかけのところでほのかに光が差すかのように転調して救いが示唆され感動的です。

古くはヴォルフ協会SPのRothbergがあり、シュヴァルツコップは全集のほか1958年のライブ録音もあります。こちらの方はかなり遅いテンポで歌っていますがいささか重すぎる感じもしました(EMI)。彼女の全集の方とオッターが良いと思いますが、レーガー編曲のオルガン伴奏版もこの曲には効果的と感じました。

( 2003.3.7 甲斐貴也 )


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