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Wie froh und frisch mein Sinn sich hebt   Op.33-14  
  Die schöne Magelone
何と幸せに爽やかにわが心は舞い上がるのか  
     美しきマゲローネ

詩: ティーク (Johann Ludwig Tieck,1773-1853) ドイツ
    Liebesgeschichte der schönen Magelone und des Grafen Peter von Provence 15 Wie froh und frisch mein Sinn sich hebt

曲: ブラームス (Johannes Brahms,1833-1897) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Wie froh und frisch mein Sinn sich hebt,
Zurück bleibt alles Bangen,
Die Brust mit neuem Mute strebt,
Erwacht ein neu Verlangen.

Die Sterne spiegeln sich im Meer,
Und golden glänzt die Flut.
Ich rannte taumelnd hin und her,
Und war nicht schlimm,nicht gut.

Doch niedergezogen
Sind Zweifel und wankender Sinn;
O tragt mich,ihr schaukelnden Wogen,
Zur längst ersehnten Heimat hin.

In lieber,dämmernder Ferne,
Dort rufen heimische Lieder,
Aus jeglichem Sterne
Blickt sie mit sanftem Auge nieder.

Ebne dich,du treue Welle,
Führe mich auf fernen Wegen
Zu der vielgeliebten Schwelle,
Endlich meinem Glück entgegen!

何と幸せに爽やかにわが心は舞い上がるのか
後に留まるのだ あらゆる恐怖は
この胸は新たな勇気と共に湧き上がる
そして新たな憧れが目覚めるのだ

星たちは海に映し出され
金色にきらめくのだ この波は
私は躓きつつ走り回ったが
それは悪いことでも良いことでもなかった

だが打ち倒されたのだ
疑いも 迷える心も
おお運んでくれ 揺れる波たちよ
わが故郷 ずっと焦がれているところへと

あの懐かしい明け行く彼方
ふるさとの歌が呼んでいる
すべての星が
あの人の優しい目で見おろしている

静まれ 忠実な波よ
導いておくれ 遠い道のりを
あのこよなく愛する敷居のところへと
最後にわが幸せと向き合わせておくれ


第15章「いかにしてペーターは再びキリスト教徒と出会ったか(Wie Peter wieder zu Christen kam)」
スルタンの娘スリマの歌声が聞こえなくなるほど沖に出るとペーターには再び勇気が湧いて来て、彼は舟を風に任せて腰をおろし、こんな歌を歌いだしました。
朝になる頃には、広い海と青空に取り囲まれて気を失いそうになるところでしたが、そこへ一艘の船が近づいてきます。幸いにそれはキリスト教徒の船で彼を喜んで迎え入れてくれ、しかも嬉しいことに彼の故郷フランスへと向かっていたのでした。

最終曲になってもおかしくない、貫録あふれる歓喜の歌です。お話の中ではまだ救出もされておらず、小舟の中でひとりぼっちで歌っている歌なのですけどもね。第4節目で恋人のことを思いだしてちょっと優しいメロディが顔を出すところにはハッとしますが、全体に生き生きと力強く歌われます。

( 2016.03.19 藤井宏行 )


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