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Ridonami la calma!    
 
私にお返しください 静けさを!  
    

詩: リッチ (Corrado Ricci,1858-1934) イタリア
      

曲: トスティ (Francesco Paolo Tosti,1846-1916) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Ave Maria per l'aria
va il suon d'una campana.
Sorge venere pura e solitaria
da la selva lontana.

Oh! Come si diffonde
del vespero la pace!
La rondine ritorna a le sue gronde
e là s'addorme e tace.

Resta un murmure lento
di mille voci strane.
Forse tra i fiori e tra le siepi il vento
racconta storie arcane.

Chi sa quanti pensieri
in quel susurro grato!
Il vento canta e sopra i cimiteri
e i giardini è passato.

Ave maria,nel core
com'è dolce la sera!
Tu sai che ne' tormenti dell'amore
è schietta la preghiera;

ond'io,nel cielo fiso
lo sguardo umido e l'alma:
“Ridonami,ti prego,il mio sorriso;
Ridonami la calma!”

アヴェ・マリア 大気の中を
鐘の音が鳴り響きます
立ち現われます 清らかで孤独な乙女が
遠くの森から

ああ!何という広がりでしょう
夕暮れの安らぎの!
ツバメは戻ってきます 軒先に
そしてそこで眠り 沈黙します

残っているのはゆったりとしたつぶやき
幾千もの不思議な声の
おそらくは花たちと垣根の間で風が
語っているのです 神秘の物語を

誰が知りましょう どれほど多くの思いが
その心地よいささやきの中にあるのかを!
風は歌いながら墓地の上を
そして庭を過ぎて行きます

アヴェ・マリア 心の中は
何と甘美な夕暮れなのでしょう!
あなた様はご存じです 愛の苦しみは
誠実な祈りであることを

ならば私は じっと天に向けましょう
この潤んだ瞳と魂を
私にお返しください お願いです 私のほほ笑みを
私にお返しください 静けさを!


聖母マリアへの夕べの祈り。静謐で敬虔な雰囲気が広がりますが、おそらくここで祈りを捧げているひとりの乙女(たぶん)が悩んでいるのは恋ですね。ということで若さあふれる声の女声に歌って欲しいところですが、意外とこの曲、テノールが好んで歌っている印象があります。ディ・ステファノあたりが歌うとちょっと濃すぎるだろうなとは思いますが、レッジェーロな声質のテノールならけっこう良い感じになります。そんなに軽い声ではないですけれども、ベルゴンツィが入れたこの歌の録音は、彼の端正な歌い口もあって意外と素晴らしい出来栄えです。管弦楽編曲の伴奏であるのもここではプラスに働いています。

( 2016.03.06 藤井宏行 )


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