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Malgré moi    
 
それなのに私  
    

詩: バルビエ (Jules Barbier,1825-1901) フランス
      Malgré moi

曲: トスティ (Francesco Paolo Tosti,1846-1916) イタリア   歌詞言語: フランス語


Je ne veux plus penser à toi
dont j'ai si triste récompense
et malgré moi toujours j'y pense.
Je ne veux plus chanter pour toi
qui ris de mes chansons,méchant,
et malgré moi toujours je chante.

Je ne veux plus pleurer pour toi,
les pleurs sans espoir sont un leurre,
et malgré moi toujours je pleure.
Je ne veux plus faire de toi
mon bien,ma vie,et mon ciel même...
et malgré moi toujours je t'aime.

私はもうこれ以上考えたくはありません あなたのことは
こんなにも悲しい報いしかないのなら
それなのに私 いつも想ってしまう
私はもうこれ以上歌いたくはありません あなたのために
笑うのですもの 私の歌を 酷い人
それなのに私 いつも歌ってしまう

私はもうこれ以上泣きたくはありません あなたのために
希望のない涙は幻でしかない
それなのに私 いつも泣いてしまう
私はもうこれ以上 あなたをしたくはありません
私の宝に 私の人生に 私と同じ空には...
それなのに私 いつもあなたを愛してしまう


実に健気で愛らしい恋の歌です。トスティの優しいメロディも歌詞のしおらしさに良くマッチしています。作詞のバルビエはグノーの歌曲などで良く名前を見かける人ですが、トスティのフランス語歌曲という制約からか、ほとんど耳にすることはできないかも知れません。こんな良い歌が埋もれてしまうのは大変に惜しいと思いますがそれが現実でしょうか。日本が誇るトスティ歌いの松本美和子の録音と、あとは歌い方に語り物のような味があって(趣味は分かれるかも知れませんが私はとても気に入りました)なかなか芸達者なジリアン・ザミットの歌くらいしか音盤が出ているのは見つけておりません。このザミットの録音、ピアノ伴奏(ルチア・ミカレフ)がものすごく雰囲気が良くて魅力的です。トスティ歌曲集録音としても出色の一枚ではないでしょうか。

( 2016.02.15 藤井宏行 )


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