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Venetian Song    
 
ヴェネツィアの歌  
    

詩: スティーブンスン (Benjamin Charles Stephenson,1839-1906) イギリス
      

曲: トスティ (Francesco Paolo Tosti,1846-1916) イタリア   歌詞言語: 英語


The night wind sighs,
Our vessel flies
Across the dark lagoon
The city sleeps,
And well she keeps
Her watch,the gentle moon,
For with her light,
She guides our flight
Across the silver sea.
We are alone
The world,my own,
Doth hold but you and me.

The night is still,
But soft winds fill
And swell the willing sail
The wind is fair,
The scented air
Brings perfumes from the vale.
Then fly with me,
Across the sea,
And leave the world behind,
For here am I,
To live or die
As you prove hard or kind.

夜風はため息つき
ぼくらの舟は飛び行く
暗い入り江を渡って
街は眠っていて
しっかりと向けてくれている
その眼差しを 穏やかな月は
だってその光で
月は導いてくれるのだから ぼくらの船路を
銀色の海を渡って行く
ぼくらは二人っきりだ
この世界は ぼくのもので
抱いている ただ君とぼくだけを

夜は静かだ
だけど穏やかな風が満たし
そして膨らませている 楽しげな帆を
風は追い風
芳しい大気は
香りを運んでくる 谷間から
だから飛んで行こう ぼくと一緒に
海を越えて
そして置いていくんだ 世界は後ろに
だってぼくはここで
生きるか死ぬかするんだから
君が冷たいか 優しいかが分かったなら


IMSLPに楽譜がアップされているので見せて頂くと、これはもともと二重唱の曲なのですね。トスティの作品でもともと二重唱というのは珍しいように思いますが、カレーラスとフリットリの1996年ライブでも美しくハモりながらたゆたうヴェニスの夜を心地よく描き出しておりました。ただこの曲を有名にしているのは往年のアイリッシュテナー、ジョン・マコーマックが愛唱していたことなのだそうで、彼のソロで歌ったSP復刻の録音も聴くことができます。わざわざ英語の詞で歌われるトスティのお国イタリアを舞台にした歌というのも何とも奇妙な感じですが、迫力のあるソロ歌手の歌でもなかなか説得力があります。

( 2016.02.09 藤井宏行 )


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