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Tristezza    
 
悲しみ  
    

詩: マッツオーラ (Riccardo Mazzola,1892-1922) イタリア
      

曲: トスティ (Francesco Paolo Tosti,1846-1916) イタリア   歌詞言語: イタリア語


Guarda; lontan lontano
muore ne l'onde il sol;
stormi d'uccelli
a vol tornano al piano.

Una malinconia io sento in cuore
e pur non so perchè;
guardandoti negli occhi,
o bella mia,muto mi stringo a te.

Copre l'ombrìa d'un manto
le cose,il cielo,il mar;
io sento tremolar
ne gli occhi il pianto.

Suona l'avemaria ed é sí triste
e pur non so perchè:
devotamente preghi,o bella mia,
io prego insieme con te.

Tenera ne la sera
che s'empie di fulgor,
dai nostri amanti cuor
va la preghiera.

E la malinconia
mi fa pensare e pur non so perchè,
che un giorno,ahimè,dovrà la vita mia
perdere il sogno e te!

ご覧 はるか彼方で
波間に死んで行くんだ 太陽が
鳥たちの群れも
野に戻って行く

とある悲しみを私は感じてる この心の中に
けれど分からないんだ なぜなのかは
あなたの目を見つめながら
おお麗しの人よ 黙って私はあなたに身を寄せる

マントのような影が覆っている
物を 空を 海を
私は震えを感じる
この目に涙の

アヴェ・マリアの鐘が鳴り とても悲しくなる
けれど分からないんだ なぜなのかは
心から祈るんだ おお麗しの人よ
私はあなたと一緒に祈ろう

優しく この夕暮れ
この輝かしい時に
私たち愛し合う心から
祈りが流れ出る

そしてこの憂鬱は
私に考えさせる なぜかは分からないけれど
いつかは ああ 私の人生は
夢とあなたを失うのだろうと!


この1908年から1912年にかけてトスティはマッツォーラの詩につけた傑作歌曲をたくさん書いています。全音のトスティ歌曲集の楽譜の解説によれば、この詩人は1892年生まれだそうで、まだ作曲当時は10代後半だったのですね。それにしてはずいぶんとマセた詩を書いているものです。(なおこの人 1922年没だそうでこちらもとても若くして生涯を終えています)
哀愁漂う冒頭のメロディが、詩は悲しいままですけれども後半「優しくこの夕暮れ」のところから転調して明るく盛り上がっていくのはさすがトスティ。実にインパクトのある歌です。人気も高く多くの歌手が録音しております。
ですがこの泣きの入ったメロディラインはホセ・カレーラスの歌声の独壇場ではないでしょうか。前半の泣きも後半の盛り上がりも絶品です。

( 2016.01.30 藤井宏行 )


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