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Desdemona's song   Op.31-1  
  Four Shakespeare Songs
デズデーモナの歌  
     四つのシェイクスピアの歌

詩: シェイクスピア (William Shakespeare,1564-1616) イングランド
    Othello (オセロ) Act.4 Scene.3 The poor soul sat sighing by a sycamore tree

曲: コルンゴルト (Erich Wolfgang Korngold,1897-1957) オーストリア→米   歌詞言語: 英語


The poor soul sat sighing by a sycamore tree,
Sing all a green willow:
Her hand on her bosom,her head on her knee,
Sing willow,willow,willow:
The fresh streams ran by her,and murmur’d her moans;
Sing willow,willow,willow;
Her salt tears fell from her,and soften’d the stones;
Sing willow,willow,willow;
Sing all a green willow,my garland must be.
Sing all a green willow;
Let nobody blame him; his scorn I approve.
Sing willow,willow,willow,
I call’d my love false love; but what said he then?
Sing willow,willow,willow:
If I court moe women,you’ll couch with moe men!
Sing willow,willow,willow.

一人の哀れな娘が座って歌いました シカモアの木のそばに
歌って 緑のヤナギのことを
手を胸に当て 頭を膝に乗せて
歌って ヤナギ ヤナギ ヤナギを
清らかな小川は流れて つぶやいている 娘の嘆きを
歌って ヤナギ ヤナギ ヤナギを
彼女の辛い涙はしたたり 石さえも柔らかくする
歌って ヤナギ ヤナギ ヤナギを
歌って 緑のヤナギは私の花輪の中になくちゃ駄目なの
歌って 緑のヤナギのことを
誰にもあの人を責めさせないわ あの人の軽蔑を私 受け入れるのだから
歌って ヤナギ ヤナギ ヤナギを
私は呼んだわ 愛する人を不実者と だけどあの人は何て言ったの?
歌って ヤナギ ヤナギ ヤナギを
俺が遊ぶのなら 大勢の女と お前も遊べばいい 大勢の男とな!
歌って ヤナギ ヤナギ ヤナギを

作品31は英語の原詩につけたシェイクスピアの色々な戯曲からの歌。まだ祖国から追われての亡命前の1937年に書かれましたが手稿はナチスに破棄され、1941年に記憶をたよりに復元されたといういわくのある曲です。ドイツとアメリカで活躍した演出家&音楽プロデューサーのマックス・ラインハルトの手引きもあってこの頃ヨーロッパとアメリカを股にかけて活躍していた彼ですので歌詞も英語に付けられています。1941にロスアンジェルスで開かれるこのラインハルト主催のワークショップで演奏されたのを最後に長く忘れさられ、1995年になって再び発見されましたので最近取り上げられることが増えて参りました。
メゾソプラノのアンネ・ゾフィー・フォン=オッターが4曲全部取り上げているのが(DG)もっとも有名ですし良い演奏でしょう。暗いものから明るいものまで表情が多彩でまとめて聴くのが楽しい歌曲集です。

第1曲目は悲劇「オセロ」の幕切れ近く、第4幕第3場でオセロの妻デズデーモナがひとり寂しく歌う「柳の歌」として良く知られたものです。シェイクスピアの時代に書かれた作者不明のメロディが良く知られていますが、この曲もそれにインスパイアされたかのようなかなり似た雰囲気の歌。ピアノ伴奏の近代的な和音の彩りが美しいです。

( 2016.01.28 藤井宏行 )


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