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絶筆    
 
 
    

詩: 矢野克子 (Yano Katsuko,1905-1994) 日本
      

曲: 金井喜久子 (Kanai Kikuko,1906-1986) 日本   歌詞言語: 日本語


詩:著作権のため掲載できません。ご了承ください


金井喜久子は出身地沖縄の様々な題材を民謡からばかりでなく歌にしています。この詩を書いた矢野克子(1905-1994)も沖縄出身の詩人、金井(旧姓・川平)同様結婚して夫の姓になっていますが、彼女の旧姓は徳田、戦前から共産主義者として活躍し、のちに党書記長になった徳田球一の妹です。おそらく金井とは沖縄の高等女学校時代は同窓で面識もあったのでしょう。ちなみに克子の夫となった矢野酉雄はこの学校に赴任してきた教師でした。と下世話な話はさておき、この絶筆という歌曲、収録されている奈良ゆみさんのCDによれば1951年作となっておりました。歌詞に「緑の冠を失いて横たわる街」とあるのは沖縄戦で焼けただれた故郷の街のことでしょう。「ぐっとにぎりしめる操縦桿」と歌っている主人公はどう考えてもこれから戦いに飛び立つ若いパイロット。死を覚悟した決意がひしひしと窺われる緊迫したメロディの前半が、「いとせめて わが引ける飛行機雲よ 白きリボンとなりて」というところで優しく穏やかになり、そして最後にまた決然と「さらば琉球よ」と歌い上げるところ、詩も音楽もこの沖縄戦で亡くなった人たちの追悼の思いをひしひしと感じさせます。

( 2016.01.23 藤井宏行 )


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