Blow,blow thou winter wind |
吹けよ 吹け 冬の風よ |
Blow,blow thou winter wind, Thou art not so unkind As man's ingratitude; Thy tooth is not so keen Because thou art not seen, Although thy breath be rude. Heigh ho! sing heigh ho! unto the green holly: Most friendship is feigning,most loving mere folly: Then,heigh ho! the holly! This life is most jolly. Freeze,freeze thou bitter sky, Thou dost not bite so nigh As benefits forgot: Though thou the waters warp, Thy sting is not so sharp As friend remember'd not. Heigh ho! sing heigh ho! unto the green holly: Most friendship is feigning,most loving mere folly: Then,heigh ho! the holly! This life is most jolly. |
吹けよ 吹け 冬の風よ お前はそんなに不親切ではないぞ 人が恩知らずでいるほどには お前の歯はそんなに尖ってはないぞ お前は目には見えないのだから 確かにお前の息は荒っぽいが ヘイ ホー!歌えや ヘイ ホー!緑のヒイラギに 友情はあらかた見せかけ 恋愛はただの愚行 だから ヘイ ホー!ヒイラギよ! この人生は馬鹿騒ぎ 凍りつけ 凍りつけ 冷たい空よ お前が噛み付いたって何てことはない 恩を忘れてしまうよりは全く お前は水を凍らすけれど お前の一刺しはそんなに痛くない 友達を思い出さなくなるよりは全く ヘイ ホー!歌えや ヘイ ホー!緑のヒイラギに 友情はあらかた見せかけ 恋愛はただの愚行 だから ヘイ ホー!ヒイラギよ! この人生は馬鹿騒ぎ |
シェイクスピアの喜劇「お気に召すまま」第2幕の第7場 森に追われた公爵の臣下の貴族アミアンズが歌う歌です。色々な時代の色々な人がメロディをつけていますが、これは「ルール・ブリタニア」で知られた、ちょうどシェイクスピア没からおよそ1世紀後に生まれたイギリスの作曲家トマス・アーンのもの。彼はけっこうな数シェイクスピアの戯曲の中の詞につけた歌があります。舞台で使われたのかどうかは分かりませんが、いずれも端正な中に生き生きと活気のあるメロディは愛らしく魅力的です。この曲は中でも人気があるのか、現代のリサイタルでもしばしば歌われているようです。バロックオペラのアリアのような淡々と流麗な歌は、この歌詞にある複雑な感情はさすがに表せてはいませんが美しい音楽です。高い清楚な声のソプラノが歌うととても映えるような。実際そんな声質のひとが好んで歌っているようです。
( 2016.01.23 藤井宏行 )