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HarfenspielerIII    
  Lieder nach Gedichten von J W von Goethe
竪琴弾きIII  
     ゲーテ歌曲集

詩: ゲーテ (Johann Wolfgang von Goethe,1749-1832) ドイツ
    Wilhelm Meisters Lehrjahre (ヴィルヘルム・マイスターの修業時代 1796) Vol.2 Ch.13 Wer nie sein Brot mit Tränen aß

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Wer nie sein Brot mit Tränen aß,
Wer nie die kummervollen Nächte
Auf seinem Bette weinend saß,
Der kennt euch nicht,ihr himmlischen Mächte.

Ihr führt ins Leben uns hinein,
Ihr laßt den Armen schuldig werden,
Dann überlaßt ihr ihn der Pein,
Denn alle Schuld rächt sich auf Erden.

涙と共にパンを食べたことがない者
また 苦しみに満ちた夜に
ベッドの上に泣きながら座っていたことのない者
そういう者は御身らを知らないのだ 天上の力よ

御身らは われらを生に導き入れ
哀れな者に罪を負わせ
それからその者を苦しみの中に放り出すのだ
あらゆる罪はこの世で報いを受けるのだから


 『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』第2巻第13章 歌曲集の1曲目に置かれた竪琴弾きの歌Harfenspieler Iに先立ち、この老人を訪ねたヴィルヘルムがたまたまこの歌を聞き老人に惹かれて行くというシチュエーションです。
 はじめは静かに歌いだされ,いかにも旅芸人風の節まわしも聞かれますが(auf seinem Bette),天上の力を歌うあたりで昂揚します。後半の盛り上がりは一層恐ろしく、激しくかき鳴らす竪琴に乗せて人間を罪へと追いやる運命の非情を叫ぶのでした。
 竪琴弾きは若かりしころある娘と恋仲になりますが それは彼の実の妹でした。ふたりは周囲の反対を押し切って結婚するもののやがて引き離され、竪琴弾きは軟禁同然の身となります。その後逃げ出してドイツに渡り、流浪の果てにヴィルヘルムのもとで少女ミニヨンに出会うのでした。ミニヨンこそ彼の娘だったのですが、真相が明らかになるのはずっと後になります。

( 2015.10.10 藤井宏行 )


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