Harfenspieler I Lieder nach Gedichten von J W von Goethe |
竪琴弾き I ゲーテ歌曲集 |
Wer sich der Einsamkeit ergibt, Ach,der ist bald allein, Ein jeder lebt,ein jeder liebt Und läßt ihn seiner Pein. Ja,laßt mich meiner Qual! Und kann ich nur einmal Recht einsam sein, Dann bin ich nicht allein. Es schleicht ein Liebender,lauschend sacht, Ob seine Freundin allein? So überschleicht bei Tag und Nacht Mich Einsamen die Pein, Mich Einsamen die Qual. Ach werd ich erst einmal Einsam im Grabe sein, Da läßt sie mich allein. |
孤独に身をゆだねる者は ああ すぐに独りになるのだ 人はそれぞれに生き それぞれに恋をするが 孤独な者は苦悩のなかへ置いてゆく されば、私をわが苦悩の中においてゆくがよい ただ一度だけでも私が 本当に孤独でいられるのならば 私は孤独ではないのだ 恋する男が忍び込み、耳を澄ます 彼女はひとりでいるだろうか?と そんなふうに忍び寄ってくるのだ 昼も夜も 孤独な私にこの苦しみが 孤独な私にこの悩みが ああ いつの日か私が ひとり墓の中にいるときに初めて 苦しみや悩みは私をひとりにしてくれるのだ |
ヴォルフのゲーテ歌曲集 冒頭の10曲は小説「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」より取られています。有名なものだけでなく、筋の彩りのために挿入されただけのものもあり非常に多彩です。シューマンが集中的に取り上げていた歌曲集があってあちらでも多いなと思ったのですが、それでもあちらは9曲、ヴォルフの方が1曲多いです。第1曲目は第2巻第13章 ヴォルフの歌曲集では3曲目にHarfenspielerIIIとして取り上げられた「涙と共にパンを食べたことがない者」に惹かれて家の中へと入ったヴィルヘルムは竪琴弾きを言葉を交わし、そしておもむろに竪琴弾きはこの歌を歌います。この歌にヴィルヘルムは感銘を受け、竪琴弾きと語り合い親しくなるのでした。
( 2015.10.10 藤井宏行 )