またある時は |
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またある時は 野に出でて 艸(くさ)に坐れば 花うばら あまくかをれど あなうたて いまはせんなや 花うばら 香にかをれども かくばかり へだてし世こそ せんなけれ |
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三好達治の昭和19年の詩集「花筐(はながたみ)」89篇の花の名が読み込まれたなかなか洒落た詩集のようですが、そこから何篇か取り出して中田喜直が歌曲にしています。この曲は日本情緒と幻想性が微妙なバランスを取った実に美しい歌です。先だって亡くなった中沢桂さんの見事な歌声がFONTECの「日本抒情歌曲集」に遺されています。
( 2016.01.15 藤井宏行 )