Sweet-and-Twenty |
甘く 何度も |
O mistress mine,where are you roaming? O stay and hear! your true-love's coming That can sing both high and low; Trip no further,pretty sweeting, Journey's end in lovers' meeting? Every wise man's son doth know. What is love? 'tis not hereafter; Present mirth hath present laughter; What's to come is still unsure: In delay there lies no plenty,? Then come kiss me,Sweet and twenty, Youth's a stuff will not endure. |
ねえ、僕の恋人、どこへ行くんだ 待って、聴いて、せっかく僕が来たんだから 高い声でも低い声でも歌ならお手の物 もうどこへも行かないで、かわいい人 旅の終わりは恋人たちの出会いだと、 賢い人はみんな知っているのだから 恋って何だい? 今この時だけのもの 今の笑顔が今の喜び 明日は誰にも分からないのだから ぐずぐずしていちゃ何もできない だからキスしておくれ、甘く、何度も 若い時はただ一度、長くは続かないのさ |
シェイクスピアの喜劇「十二夜」で道化師のフェステが第2幕第3場で歌う「O Mistress Mine」、個人的にはそれほど素晴らしい詩とも思わないのですが、英語圏の作曲家はこの詩を愛するのか、たいていの人が取り上げて美しい歌曲にしています。このサイトでもサマヴェル、フィンジ、クィルターのものを今まで取り上げましたので続いてはこのウォーロックのものを。タイトルが第2節にある「Sweet-and-Twenty」であることからもお分かりのように、この詩の陶酔的な愛の思いにスポットを当てて、ひたすら甘く甘くメロディを紡ぎます。あまり歌われることが多くないのがもったいない佳曲ですが、Naxosにあるウォーロック歌曲集の録音でエイドリアン・トンプソンの甘く切ないテナーの陶酔的な演奏を聴くことができました。
( 2016.01.10 藤井宏行 )