Die Trommel gerühret Op.84 Musik zu Egmont |
ドラムを響かせて 劇音楽 エグモント |
Die Trommel gerühret, Das Pfeifchen gespielt! Mein Liebster gewaffnet Dem Haufen befiehlt, Die Lanze hoch führet, Die Leute regieret. Wie klopft mir das Herz! Wie wallt mir das Blut! O hätt' ich ein Wämslein Und Hosen und Hut! Ich folgt' ihm zum Tor 'naus mit mutigem Schritt, Ging' durch die Provinzen, ging' überall mit. Die Feinde schon weichen, Wir schiessen da drein; Welch' Glück sondergleichen, Ein Mannsbild zu sein |
ドラムを響かせて 笛を吹き鳴らして! 私の愛するお方が今まさに 兵士たちに命令なさるのです 槍を高く掲げ 軍団を指揮なさるのです どれほど鼓動することでしょう 私の心臓は! どれほど沸き立つのでしょう 私の血は! おお私にも胴着があったなら そしてズボンと軍帽が! あの方に続き 門を出て行けたなら 大胆な足取りで 諸国を越え あらゆるものをご一緒に越えて 敵どももすぐに崩れるでしょう 私たちが一緒に攻めることができれば どれほど幸福なことでしょう 男の姿になれたなら |
ゲーテの戯曲「エグモント」、第1幕第3場、祖国解放のために戦いへと向かうエグモントを見送る恋人グレールヒェンが、自分も男だったら一緒に行って戦えるのに、と歌う勇壮な歌です。いかにもベートヴェンらしい重厚な管弦楽の上に勇ましい行進曲の歌詞を乗せています。どことなく悲壮感を漂わせつつも快活なメロディが印象的です。
この戯曲の主人公エグモント(エグモント伯ラモラル 1522〜1568)は実際にオランダの指導者として活躍し、スペイン王フェリペ2世が送った提督アルバ公の圧政に公然と反対して捕えられて処刑されています。このあたりの史実を支配者スペイン側から見ているヴェルディのオペラ「ドン・カルロ(こちらの原作はシラー)」と合わせて見ると興味深いところです。
( 2016.01.02 藤井宏行 )