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Pavane   Op.50  
 
パヴァーヌ  
    

詩: モンテスキュー・フェザンサク (Robert,comte de Montesquiou-Fezensac,1855-1921) フランス
      

曲: フォーレ (Gabriel Fauré,1845-1924) フランス   歌詞言語: フランス語


C’est Lindor! C’est Tircis!
Et c’est tous nos vainqueurs!
C’est Myrtil! C’est Lydé!
Les reines de nos coeurs.
Comme ils sont provocants!
Comme ils sont fiers toujours!
Comme on ose régner
sur nos sorts et nos jours!
Faites attention!
Observez la mesure!
O la mortelle injure!
La cadence est moins lente
Et la chute plus sûre
Nous rabattrons bien leurs caquets!
Nous serons bientôt leurs laquais!
Qu’ils sont laids! Chers minois!
Qu’ils sont fols! Airs coquets!
Et c’est toujours de même,
Et c’est ainsi toujours!
On s’adore! On se hait!
On maudit ses amours!
Adieu Myrtil! Églé! Chloé!
Démons moqueurs!
Adieu donc et bons jours
aux tyrans de nos coeurs!
Et bons jours!

リンドールだ!チルシスだ!
皆 われらを征服した者たちだ!
ミルチルだ!リデだ!
われらの心の女王たちだ
なんと彼らは挑戦的なのだ!
なんと彼らは誇らしげなのだ どんな時も!
まるで支配しようとしているようだ 
われらの運命を われらの日々を!
気を付けろ!
リズムを守れ!
おお酷い侮辱!
テンポはあんまり緩くない
間違いなく倒れてしまうぞ
彼らのお喋りを止めさせなければ!
すぐにわれらは彼らの下僕にされてしまうぞ!
何て彼らは醜いのだ!愛らしい顔をして!
何て彼らは愚かなのか!艶めかしい身のこなしで!
だがそれは常に同じこと
永遠に変わらないだろう!
互いに愛せよ! 互いに憎め!
この愛を呪うのだ!
さらば ミルチル!エグレ!クロエ!
人をあざける悪魔たちよ!
ではさらばだ ごきげんよう
われらの心の暴君たちよ!
ではさらば!

1886年に管弦楽曲として書かれましたが、この曲を献呈したグレフュール子爵夫人の勧めで歌詞をつけることとなり、夫人のいとこのロベール・ド・モンテスキュー=フェザンサク伯爵が歌詞をつけたものがその翌年に出来上がっています。一応この人は詩人と言うことで紹介されておりますが、個人的にはあまり良い出来の詩のようには私には思えません。というよりも何だか意味不明の言葉が羅列されているよう、そのあたりは他の方々も同じなのか、この歌詞の邦訳を見ても英訳を見てもどれも訳しあぐねているのが良く分かります。
一応私なりの解釈を加えて訳すと、冒頭に出てくるリンドールだチルシスだのいうのはおそらく宮廷で演じられる田園詩劇の主人公たち、それらの登場と共に観客の貴族たちも優美にパヴァーヌを踊るのだけれど、イジワルされてなかなかうまく踊れない、といったところでしょうか。そういう理解のもとに言葉を選んでみましたが、この優美で繊細な音楽に比べて何とも間の抜けたお話ではあります。
まあフランス語が分からないわれわれとしては言葉の響きだけを味わっていれば良いのでしょう。

( 2016.01.01 藤井宏行 )


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