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Rêverie    
  Premier Recueil de 20 mélodies
夢想  
     20のメロディー第1集

詩: ユゴー (Vicomte Victor Marie Hugo,1802-1885) フランス
    Les voix intérieures 11 Puisqu'ici?bas toute âme

曲: アーン,レイナルド (Reynald Hahn,1875-1947) フランス   歌詞言語: フランス語


Puisqu'ici-bas toute âme
Donne à quelqu'un
Sa musique,sa flamme,
Ou son parfum;

Puisqu'ici chaque chose
Donne toujours
Son épine ou sa rose
A ses amours;

Puisque l'air à la branche
Donne l'oiseau;
Que l'aube à la pervenche
Donne un peu d'eau;

Puisque,lorsqu'elle arrive
S'y reposer,
L'onde amère à la rive
Donne un baiser;

Je te donne,à cette heure,
Penché sur toi,
La chose la meilleure
Que j'ai en moi!

Reçois donc ma pensée,
Triste d'ailleurs,
Qui,comme une rosée,
T'arrive en pleurs!

Reçois mes voeux sans nombre,
O mes amours!
Reçois la flamme ou l'ombre
De tous mes jours!

Mes transports pleins d'ivresses,
Pur de soupçons,
Et toutes les caresses
De mes chansons!

この世ではすべての魂が
誰かに与えるのだから
自分の音楽を 自分の輝きを
そして自分の香りを

この世ではすべてのものが
いつでも与えるのだから
自分の茨を 自分のバラを
自分の愛するものへと

大気は枝に
鳥を与えるのだから
朝焼けがツルニチソウに
ほんの少し水を与えるのだから

それがたどり着く時に
休もうとして
岸辺へと至る苦い波は
口づけを与えるのだから

ぼくも君に与えよう 今このときに
君にもたれかかって
一番素晴らしいものを
このぼくの中にある

だから受け取って ぼくの思いを
それは悲しいものだけれど
それは朝露のように
君に届くのだ 涙となって

受け取って 数限りないぼくの願いを
おおぼくの恋する人よ!
受け取って 炎や影を
ぼくの日々のすべての!

喜びにあふれたぼくの熱情を
この疑いの晴れたものを
そしてあらゆる愛撫を
このぼくの歌の

フォーレのデュエット曲が良く知られているユゴーの詩(詩集「内心の声(Les voix intérieures 1837)」より)。とても熱烈な愛の詩なのでサン・サーンスやラロなど大物のフランス作曲家に取り上げられている人気の詩です。面白いのは原詩が12節からなる少々長いものですのでどの作曲家もいくつかの節をカットしているのですが、そのカットした部分が作曲家によって完全にまちまちなのです。ポピュラーソングのようにひたすら甘いメロディで訴えかけるこのアーンのものは、第3節をカットすると共に、最後の10〜12節をばっさりと切り捨て、愛の訴えかけをしつこくせずに余韻を残して終わるやり方を取っているのです(他にラロもこれに近いやり方で10〜12節カット)。
甘く美しいアーンのメロディの中でも、この流麗に響く愛の調べは傑作のひとつと言って良いでしょう。ちょっと通俗的に過ぎると言われればそれまでですが、クラシックの歌手でない人に歌って貰っても魅力的なメロディです。実際レイナルド・アーンの公式ページで紹介されていたアンドレ・フェランドという人の歌うこの曲(一部試聴可)は歌唱スタイルがベルエポックのシャンソンといった感じで実に面白かったです。

( 2015.12.27 藤井宏行 )


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