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This have I done for my true love    
 
これをわれは為したり わが真に愛する者のために  
    

詩: 不詳 (Unknown,-) 
       原詩:A Medieval Anthology(中世詩歌集)

曲: ホルスト (Gustav Holst,1874-1934) イギリス   歌詞言語: 英語


Tomorrow shall be my dancing day;
I would my true love did so chance
To see the legend of my play,
To call my true love to my dance;
Chorus:
Sing,oh! my love,oh! my love,my love,my love,
This have I done for my true love

Then was I born of a virgin pure,
Of her I took fleshly substance
Thus was I knit to man's nature
To call my true love to my dance.
Chorus.

In a manger laid,and wrapped I was
So very poor,this was my chance
Betwixt an ox and a silly poor ass
To call my true love to my dance.
Chorus.

Then afterwards baptized I was;
The Holy Ghost on me did glance,
My Father’s voice heard from above,
To call my true love to my dance.
Chorus.

Into the desert I was led,
Where I fasted without substance;
The Devil bade me make stones my bread,
To have me break my true love's dance.
Chorus.

The Jews on me they made great suit,
And with me made great variance,
Because they loved darkness rather than light,
To call my true love to my dance.
Chorus.

For thirty pence Judas me sold,
His covetousness for to advance:
Mark whom I kiss,the same do hold!
The same is he shall lead the dance.
Chorus.

Before Pilate the Jews me brought,
Where Barabbas had deliverance;
They scourged me and set me at nought,
Judged me to die to lead the dance.
Chorus.

When on the cross hanged I was,
Where a spear my heart did glance;
There issued forth both water and blood,
To call my true love to my dance.
Chorus.

Then down to hell I took my way
For my true love's deliverance,
And rose again on the third day,
Up to my true love and the dance.
Chorus.

Then up to heaven I did ascend,
Where now I dwell in sure substance
On the right hand of God,that man
May come unto the general dance.
Chorus.

明日はわが踊りの日
わが最愛の者たちに
わが行いの説話を示す機会となろう
わが最愛の者たちを わが踊りに呼ぶのだ
<コーラス>:
歌え おお! わが愛する者よ おお! 愛する者よ...
これをわれは為したり わが真に愛する者のために

われは生まれたり 汚れなき乙女より
彼女より得たり 肉体の実存を
それゆえわれは結ばれぬ 人間の本質と
わが最愛の者たちを わが踊りに呼ぶのだ
<コーラス>

飼い葉桶に横たわり 布にくるまれ
かくも貧しき それが定めであった
牛と 愚かなる哀れなロバの間で
わが最愛の者たちを わが踊りに呼ぶのだ
<コーラス>

その後 われは洗礼を受けぬ
聖霊がわが上に煌めき
わが父の声を聞いた いと高きところよりの
わが最愛の者たちを わが踊りに呼ぶのだ
<コーラス>

砂漠の中にわれは導かれ
実体なき断食を行ったのだ
悪魔は命じた 私に石でパンを作れと
私にわが最愛の者たちのダンスを止めさせようと
<コーラス>

ユダヤ人たちは私を激しく非難し
そして私と激しく敵対した
彼らは闇を愛していたからだ 光ではなく
わが最愛の者たちを わが踊りに呼ぶのだ
<コーラス>

三十ペンスでユダは私を売り
その貪欲さは度重なった:
私がキスする者に注目せよ まさにその者を捕えるのだ!
まさにその者なのだ この踊りをリードせし者は
<コーラス>

ピラトの前に ユダヤ人たちは私を連れて来た
そこでバラバが救済された
彼らは私をむち打ち 私を無価値と断じた
見なしたのだ 死してこの踊りをリードすべき者だと
<コーラス>

十字架の上に私が架けられた時
一本の槍は私の心臓を貫いた
そこからは噴き出したのだ 水と血が共に
わが最愛の者たちを わが踊りに呼ぶのだ
<コーラス>

そして地獄の底へと私は下った
私が真に愛する者の救出のため
そして再び立ち上がったのだ 三日目に
わが最愛の者たちと踊りのもとへ
<コーラス>

それから天へと私は昇ったのだ
そこで今私は暮らす 確かな実態実体となって
神の右手に そこへ人は
来るがよい 全身の踊りをしに
<コーラス>


メアリー・シーガーという人の編纂した中世のアンソロジー(A Medieval Anthology)からホルストはいくつかの詩を選んで作曲していますがこれもそのひとつ。多くは原曲が分からないのですが、この曲に関しては歌詞の冒頭「Tomorrow shall be my dancing day(明日はわが踊りの日)」というタイトルでとても良く知られたキャロルとして残っています。合唱をされる方にはおなじみのイギリスの作曲家J・ラターがその伝承のメロディを編曲したちょっと斬新な合唱作品を書いておりますので、このウキウキするメロディを聴かれた方も多いことでしょう。
ホルストもおそらくこの有名なクリスマス音楽を聴いているとは思うのですが、そのメロディとは全く違う曲を新たに作っています。和声の響きなどはかなり斬新なものを持って来てはいるのですが、聴き比べての印象はホルストの曲の方がずっと古くに書かれたかのような古典的なたたずまい。もともとの歌詞もイエス様の誕生だけではなくその受難と復活まで一連の物語を描いていますので明るさ一辺倒という訳には行かないのでしょう。
音楽にもしっとりとした翳りがあってとても印象に残ります。
イエス・キリストの物語、ここに描かれているようなことを私は十分に知っているわけではないので日本語訳がチンプンカンプンになっている部分もあるかと思います。イエスの生涯にお詳しい方がおられましたらぜひここでの無知ゆえの誤りをご指摘頂けるとありがたいです。

( 2015.12.25 藤井宏行 )


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