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C'est la paix!   Op.114  
 
今こそ平和だ!  
    

詩: ドブラディス (Georgette Debladis,-) フランス
      

曲: フォーレ (Gabriel Fauré,1845-1924) フランス   歌詞言語: フランス語


Pendant qu'ils étaient partis pour la guerre,
on ne dansait plus,on ne parlait guère,
on ne chantait pas,

mes soeurs,c'est la paix! La guerre est finie,
Dans la paix bénie,
Courons au devant de nos chers soldats.

Et joyeusement,toutes,en cadence,
Nous irons vers eux en dansant la danse
Qu'on danse chez nous.

Nous les aimerons! La guerre est finie
Ils seront aimés,dans la paix bénie,
Sitôt leur retour.

pour avoir chassé la horde germaine
Ils auront nos coeurs,-- au lieu de la haine
Ils auront l'amour.

彼らが戦争に行ってしまった間
われらは踊らなかった ほとんど話さなかった
われらは歌いもしなかった

姉妹たちよ 平和だ!戦争は終わった
祝福された平和のうちに
走って逢いに行こう われらの愛しい兵士たちに

そして喜んで 皆調子を合わせ
われらは彼らとダンスをしに行こう
われらになじみのダンスを

彼らを愛するのだ!戦争は終わった
彼らは愛されるだろう 祝福された平和のうちに
戻ってくるやいなや

大軍を追い払ったのだから あのドイツの
彼らはわれらの心を得るのだ - 憎しみではなく
彼らは愛を得るだろう


1919年、新聞の懸賞で第一位となった詩にフォーレが作曲するというキャンペーンが企画され、そこで書かれることとなった曲です。懸賞のお題は「平和」ということだったようですが、丁度その前年に第一次世界大戦が終わったことでもあり、そのあたりを意識した作品が入選したのでしょう。ところがフォーレという人は作曲する際に詩が気に入らないといくらでも手を入れたりカットしたりしていましたので、この素人の詩も容赦なく手を入れています。それもあって詩の作者が臍を曲げ、それなら取り下げますとかなんとかひと騒動があったようです。出来上がった作品もフォーレらしいメロディの片鱗は感じられますが、元気の良い行進曲風の音楽となりましたので(彼が嫌々作っているのが目に浮かぶよう)、面白いのですがちょっと浅薄な感じがするのは否めません。もっともEMIの全集のようにアメリンククラスの大歌手が歌うと結構聴きごたえがあって、世評にあるほど駄作でもないのでは、と思えたりもしてきました。

( 2015.12.20 藤井宏行 )


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