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Erloschen   JS 73  
 
燃え尽きた  
    

詩: ブッセ=パルマー (Georg Busse-Palma,1876-1915) ドイツ
      

曲: シベリウス (Jan Sibelius,1865-1957) フィンランド   歌詞言語: ドイツ語


Erloschen ist die letzte Glut im Herde,
der Morgen graut,Zeit wird es,daß ich geh' -
ich weiß es nicht,wohin ich wandern werde,
ich will so weit,daß ich dich nimmer seh'.

Wüßt' ich ein Land für mich und meinesgleichen,
wo schwarze Rosen an den Stöcken blühn,
wo breit geflügelt Trauermäntel streichen,
und blasse Sterne durch die Wolken glühn,

wo dunkle Quellen aus den Bergen springen,
wo nie das Glück ein Menschenherz erhellt,
wo keine Sänger und kein Harfenklingen --
ich zög' dorthin und baute mein Gezelt.

Dann säß ich stumm auf übermoostem Stein,
bräch Blatt um Blatt von dämmernden Zypressen,
und Herz und Augen schliefen mählich ein,
und mit der Welt würd ich auch dich vergessen.

燃え尽きた 最後の残り火が竈の中で
朝焼けだ 私の旅立つ時だ -
私には分からない どこをさまようことになるのかは
私は遠くに行くだろう お前に二度と会えないほどの

知っていたならば 私や仲間のための土地を
そこでは黒いバラが茎の上に咲き
巨大な羽の喪の蝶々が羽ばたき
そして青ざめた星が雲の切れ間から輝く

そこでは暗い泉が山から湧き出し
幸せが決して人の心を明るくせず
歌い手もなく ハープの響きもないような -
私はそこに行って 自分のテントを建てるのだが

それから私は黙って座るだろう 苔むした石の上に
むしるのだ 葉を一枚一枚 黄昏行く糸杉から
そして心も瞳も徐々に眠りに落ちて
そして世界と一緒に私はお前をも忘れるだろう


1906年、作品50のドイツ語歌曲6曲とほぼ同時期に書かれたこちらもドイツ語の歌曲です。もしかしなくてもこの歌曲集の中に入れるつもりで書かれ、何らかの理由で抜け落ちたのだと思いますが、音楽としては決して他の6曲と遜色はなく、むしろシベリウスらしい厳しい雰囲気はこの曲の方がうまく表現されているように思えます。Deccaの全集ではバリトンのトム・クラウゼが、BISの全集ではソプラノのヘレナ・ユントゥネンが歌っていますが、どちらも緊張感あふれる名歌唱です。

( 2015.12.08 藤井宏行 )


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