Death-in-Love The House of Life |
愛のうちのにある死 歌曲集『生命の家』 |
There came an image in Life's retinue That had Love's wings and bore his gonfalon: Fair was the web,and nobly wrought thereon, O soul-sequestered face,thy form and hue! Bewildering sounds,such as Spring wakens to, Shook in its folds; and through my heart its power Sped trackless as the memorable hour When birth's dark portal groaned and all was new But a veiled woman followed,and she caught The banner round its staff,to furl and cling, Then plucked a feather from the bearer's wing, And held it to his lips that stirred it not, And said to me,”Behold,there is no breath: I and this Love are one,and I am Death.” |
やって来たのは生命の従者の姿 愛の翼を持ち 旗を抱えて その布は美しく 気高く描かれていた その上には おお 魂の抜かれた顔が お前の容貌と色合いの! 困惑した響きが ちょうど春を目覚めさせるように その襞の中で震えた 私の心を貫いてその力は 無軌道に駆け抜けた 記憶に残る時のように 生の暗き門がうめき すべてが新しくなった時に だが ベールで覆われた女が後に続き 彼女は受け取る 竿のまわりの旗を それを畳んで縋り付くと それから この運び手の翼から羽を一枚抜くと それを彼の唇に当てたが 羽はそよぎもしなかった そして私にこう言ったのだ「見て 息をしてないでしょう: 私と愛は一つのものなの 私は死なのよ」と |
旗を手にした翼を持つものは愛を司るキューピッドでしょうか。しかしその使者が力強く軽やかに飛び回る陰には死が。愛の中にも死が分かちがたくあるということを最後厳粛に歌います。堂々たる前奏に続いて天使の登場は生き生きと、しかし女の登場とともに音楽は突如重たくなり、女の独白は厳粛この上もなく叫ばれます。不思議な情感のある曲です。
( 2015.12.05 藤井宏行 )