I Would Not Die in Spring Time |
私は死にたくはない 春の時には |
I would not die in Spring time When all is bright around, And fair young flowers are peeping From out the silent ground, When life is on the water And joy upon the shore; For winter gloomy winter Then reigns o'er us no more. I would not die in Summer When music's on the breeze, And soft,delicious murmurs Float ever through the trees, And fairy birds and singing From morn till close of day No: with its transient glories I would not pass away. When breezes leave the mountain, Its balmy sweet all o'er To breath around the fountain And fan our bowers no more. With Summer flowers are dying Within the lonely glen, And Autumn winds are sighing I would not perish then. But let me die in Winter When night hangs dark above, And cold the snow is lying On bosoms that we love Ah! may the wind at midnight, That bloweth from the sea, Chant mildly,softly,sweetly A requiem for me. |
私は死にたくはない 春の時には あたりがすべて明るく 美しく若い花たちが顔をのぞかせているのだ 静かな大地の上に 命が水の上にあり 喜びが岸辺にあるときに なぜなら冬が あの陰鬱な冬が もう私たちを支配することはないのだから 私は死にたくはない 夏には 音楽がそよ風に乗り 穏やかな 甘いささやきが 木々を通り抜けてささやく時に そして美しい鳥たちが歌っている時に 朝から一日の終わりまでずっと いやだ この束の間の栄光の中で 私は去って行きたくはないのだ そよ風が山を離れ そのさわやかな甘さを辺り中に振りまき 泉のまわりで息づく時 そして私たちのあずまやをもはや扇いではくれず 夏の花たちと共に枯れ行く時 孤独な谷間の中で 秋の風が溜息をつく時 私はそんなとき滅びたくはない だが 私を冬に死なせて欲しい 夜が暗く空にかかり そして冷たく雪が積もっている時に われらが愛する胸に抱かれて ああ!真夜中の風が 海から吹いて来て 歌っておくれ 穏やかに 優しく 甘く レクイエムを私に |
フォスターが事故がもとで死んだのは1864年の1月、その意味では彼自身の作詞作曲によるこの歌はとても意味深長なものと言えなくもありません。日本で出ている子供向けのフォスターの伝記でもこの曲を冒頭で取り上げているあたり、このそれほど知られていない歌にも深い意味合いを見出しているのでしょうか。作曲者自身の詩につけた、初期の傑作群が輩出した1850年の作品、出版時にはミルトン・ムーアというペンネームで出しています。
なお、フォスターはこれも自分自身の詩で翌1851年、「私は死にたくない 夏には」という曲を書いています。
( 2015.11.27 藤井宏行 )