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Gebet    
  Gedichte von Eduard Mörike für eine Singstimme und Klavier
祈り  
     メーリケ歌曲集

詩: メーリケ (Eduard Friedrich Mörike,1804-1875) ドイツ
    Gedichte  Gebet

曲: ヴォルフ (Hugo Wolf,1860-1903) オーストリア   歌詞言語: ドイツ語


Herr, schicket was Du willt,
Ein Liebes oder Leides,
Ich bin vergnuegt,
Dass beides aus Dein Haenden quillt.

Wollet mit Freuden und wollet mit Leiden
mich nicht ueberschutten?
Doch in der Mitte
Liegt holde Bescheiden.

主よ,お望みのものを送ってください
愛でも苦しみでも
あなたの御手から涌き出るものなら,
そのどちらも喜んで受け止めましょう.

喜びや苦しみを
私に降り注ぎすぎないでいただけますか?
そう,ちょうどその真中に
好ましいつつましさがあるのです.

          (森 訳)

主よ! お授け下さるものに身を委ねます
愛であろうと苦しみであろうと;
あなたの御手から湧き出るものなら
私は共に喜びとします。

喜びをお授けください
そして悲しみをお授けください
あまりたっぷりとではなしに!
ほどほどのところに
善き慎みはあるのですから。

         (甲斐訳)

私の愛聴盤は,1999年のシューベルティアーデでIan Bostridgeが歌ったもので,ラジオから録音しました.
この曲はゆったりしていますが,テンポの速い曲でも発音の切れるBostridgeが歌うWolfはしびれます.
「あばよ」もアンコ-ルで歌っていて,カッコイイです.
(森章吾 2001.03.29)

 信仰を語るようでいて信条あるいは願望を語る詩。逆に言えば、詩人は過剰な喜びと苦しみに悩んでいるということでもあり、「隠遁」に通じるものもあるように思います。
ヴォルフの曲は穏やかでなもので、「ほどほどのところ」”Doch in der Mitten”の行を繰り返しているところはユーモラスでもあります。神の御手から授かるものなら何でも・・・と言いながら、ただしほどほどにお願いします・・・という、ある種調子の良いユーモラスな詩と解釈している感じもあります。
 この詩にはオトマール・シェックが彼の素晴らしいメーリケ歌曲集全40曲の中で唯一ヴォルフと競合して作曲しており、最終行の「善き慎み」”holdes Bescheiden”を歌曲集のタイトルにするという、この詩への思い入れの深さを示しています。(中嶋忠宏先生は「心もて足るを知る」という名訳をなさっています) シェックの作曲は真面目一方で、この詩をより切実なものとして受け止めているようです。
 演奏はあまり凝り過ぎないで穏やかに歌ったものが好きです。白井さんのデビュー盤(オイロディスク)、この曲を第1曲に据えたベーア盤(EMI)など。
(2004.8.23 甲斐貴也)

( 2004.8.23 森章吾/甲斐貴也 )


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