遊ばうよ |
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「遊ばうよ、遊ばうよ。」 ほうら、来てゐる、よんでゐる、 たれかこどものこゑがする。 「遊ばうよ、遊ばうよ。」 日より、お日より、ひるすぎは、 たれか、靄から呼びにくる。 お庭の、お庭の菊のはな、 なにかあかるいお日よりは、 なにかさびしいお日よりは。 「遊ばうよ、遊ばうよ。」 いつもたれかがよびにくる、 いつも裏からよびにくる。 |
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長距離通勤のお供に作曲したものが溜ったことで思いついた「童謡百曲集」ですので、書かれた曲がどんぴしゃり百曲というわけにも行かず、いくつかはみ出した曲が出てきました。「からたちの花 第二」もそうですが、この「遊ばうよ」もそのひとつです。というよりも童謡百曲集の作曲時期と同じ時期に書かれた童謡はすべてこの百曲集に掲載の可能性があったという解釈でしょうか。この二曲は「童謡百曲集 拾遺」という分類がなされています。どこから取っても非の打ちどころのないような典型的童謡といった感じの詩と曲で、それが逆にインパクトをなくしてしまっているのかな、というのが楽譜を眺めての印象です。音になったものを聞いたらまた印象は変わるかも知れません。
( 2015.10.25 藤井宏行 )