かへろかへろと |
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かへろかへろと なに見てかへる。 寺の築地の 影を見い見いかへる。 『かへろが鳴くからかぁへろ。』 かへろかへろと たれだれかへる。 お手手ひきひき ぽっつりぽっつりかへる。 『かへろが鳴くからかぁへろ。』 かへろかへろとと なに為(し)てかへる。 畑の玉葱 たたきたたきかへる。 『かへろが鳴くからかぁへろ。』 かへろかへろと どこまでかへる。 あかい燈のつく 三丁さきまでかへる。 『かへろが鳴くからかぁへろ。』 |
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童謡集「子供の歌」のために作曲が集中した1925年1月に引き続き、この曲も同じ年の2月に書かれています。詩と曲が同時に雑誌「童話」1925年4月刊に掲載されていますが、白秋の詩はのちに「月と胡桃」に収録されました。そこでは詩の題は「かへろかへろ」になっていたようですが、耕筰の曲では「かへろかへろと」になっています。
『かへろが鳴くからかぁへろ。』のわらべ歌のフレーズが効果的。私は「カエルが鳴くから」だと思っておりましたが、白秋は「かへろ」としていますね。どこかの方言でのカエルの呼び名でしょうか?
( 2015.10.12 藤井宏行 )