雀追ひ 山椒太夫その二 |
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安寿こひしや。ほうやれほ。 厨子王こひしや。ほうやれほ。 ここは荒海、佐渡ケ島、 雑太(さはた)の庄の里はづれ。 安寿こひしや。ほうやれほ。 厨子王こひしや。ほうやれほ。 二人が母さま、ぼろぎもの、 めんめめくらで、竿もつて。 安寿こひしや。ほうやれほ。 厨子王こひしや。ほうやれほ。 追つても追つてもむら雀、 干した蓆(むしろ)の粟のうへ。 安寿こひしや。ほうやれほ。 厨子王こひしや。ほうやれほ。 遠い薄陽にほうやれほ、 雀追ひ追ひ、ほうやれほ。 |
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1924年、白秋小唄集からの曲を提供したのと同じ女性雑誌から発表されたものです。この詩のテーマはもちろん古い説話「山椒大夫」ですね。詩の初出は有名な児童雑誌「赤い鳥」(1924)だったのだそうですが、この曲はそのおよそ半年後くらいに書かれております。副題に「その二」とありますように白秋の詩にはその一もあり、山椒大夫の物語全体が概観できるようになっておりますが、耕筰はその二のみにメロディをつけております。いずれも白秋の童謡詩集「子供の村」に収録されており、青空文庫で誰でも読むことができますのでご興味おありの方はご覧ください。この同じ詩には後の「童謡百曲集」で別のメロディを耕筰自身がつけたものもあります。そちらは童謡ですのでメロディもシンプルですが、こちらはかなり本格的な歌曲になっております。
( 2015.10.09 藤井宏行 )