さいかち虫 |
|
いが栗、ささ栗、栗のいが、 ねんねの弟は何処へ往た。 きつちきつち、さいかち虫、 捕りに往た。 いが栗、ささ栗、栗のいが、 一年待てどもまだ見えぬ。 きつちきつち、さいかち虫、 飛んで往た。 いが栗、ささ栗、栗のいが、 今年もひわれて墓の上。 きつちきつち、さいかち虫、 まだゐぬか。 いが栗、ささ栗、栗のいが、 ねんねの弟は土の下。 きつちきつち、さいかち虫、 捕りに往た。 |
|
さいかち虫とはカブトムシのこと。語呂の良い詩ですがここで歌われているのは死の影ですね。幼児死亡率の高かった昔ならではの歌と言えましょうか。白秋の童謡詩集「花咲爺さん」の「虫のうた」のセクション、最後の詩です。
( 2015.10.05 藤井宏行 )