かやの木山の |
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かやの木山の かやの実は いつかこぼれて ひろはれて 山家のお婆さは ゐろり端 粗朶(そだ)たき 柴たき 燈(あかり)つけ かやの実 かやの実 それ 爆(は)ぜた 今夜も雨だろ もう寝よよ お猿が啼くだで 早よお眠よ |
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1922年が耕筰の白秋の詩にメロディをつけた初めての年になります。この時色々な詩集からまとめて何曲かずつ取り上げているのですが、その中で童謡詩集「花咲爺さん」からもいくつか取り上げており、この有名な一曲もそのひとつにあたります。白秋の詩に付けた童謡第一号の栄誉をこの曲は担っているのですね。
この「花咲爺さん」、タイトル通りのおとぎ話を題材をした「昔のうた」に始まって「蟲のうた」や「鳥のうた」などテーマごとに詩をまとめて取り上げています。この「かやの木山の」は「山のうた」のグループ、このあとには同じく有名な「砂山」が取り上げられています。白秋のこの本は著作権が切れておりますので、国会図書館の近代デジタルライブラリーでスキャンされたものを見ることができました。
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1169656
「かやの木山」といえば、白秋の詩集「日本の笛」の中の「鐘が鳴ります」にも出てきますね。くしくもこの詩にも同じ1922年耕筰はメロディをつけていたのでした。
( 2015.10.04 藤井宏行 )