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新子守謡    
 
 
    

詩: 清水都代三 (Shimizu Toyozou,-) 日本
      

曲: 山田耕筰 (Yamada Kousaku,1886-1965) 日本   歌詞言語: 日本語


とんとん とろりこ とんとろり
とろとん とろりと 鳴る音が
坊やのお寝間にや まだ来ぬか
来なけりや 迎ひにまゐりましよ
海山越えて鬼ヶ島 
鬼のゐぬ国 ねんね島

とんとん とろりこ とんとろり
とろとん とろりと 鳴る音は
黄金の臼やら 銀の杵
寝る子のお土産(みや)にせうとてか
日本一の黍団子 
軽い葛籠(つづら)も用意して

とんとん とろりこ とんとろり
とろとん とろりと 舂(つ)く杵は
月姫様のお使ひか
かちかち山の兎さん
狸もお悪戯(いた)をやめにして 
寝る子にお守の腹づゝみ

とんとん とろりこ とんとろり
とろとん とろりと鳴る音に
合せて雀も をどりましよ
坊やが行こなら 枯れ枝に
真赤なお花も 咲いてましよ 
夢はもゝ色 桃太郎



1916年 読売新聞社が募集した新しい子守歌の第一等に入選した作品だそうで、歌詞はまさに99年前のこの日、10/2の新聞紙上に発表されたのだそうです。
清水都代三の生没年が不明でしたが、この時にここまでの詩を書く人ですのでまあ1880年ごろの生まれではないかと想像。そうしますと1965年にはもう鬼籍に入っておられたのではないかということで歌詞は掲載させて頂くこととしました(万一著作権者の方がおられましたらお知らせください 削除致します)。桃太郎に舌切雀、かちかち山と色々なおとぎ話を織り込んでなかなかに愛らしい歌にしていますね。耕筰のメロディはこのあと10/26に発表されています。その時の記事によれば、友人に子が生まれたのでそれをお祝いするつもりでメロディを書いたのだとか。優しいメロディは悪くないと思いますが少々訴求力に弱いかも。藤原義江や辻輝子などSP時代にはしょっちゅう吹き込まれていたようですが最近はほとんど忘れ去られてしまっています。
その中で特筆すべきは2012年の映画「終の信託」で草刈民代によって歌われているのだそうで、彼女はこのサントラ盤では改めてちゃんとした形の歌を吹き込んでいるのだとか(私は未聴ですが)。確かに重たいテーマのドラマに挿入されると思わずほろりとさせられるような優しい調べではあります。

タイトルですが「謡」と書くことと「歌」と書くことと両方あるようです。春秋社の楽譜では、譜面の方では「謡」でしたが、あとに纏められていた歌詞では「歌」になっておりました。

( 2015.10.02 藤井宏行 )


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