みなぞこの月 |
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みなぞこの月のかげ さびしく病めりとなし くらき 緑の藻をわけて 音なくその身をゆりながら ああ さだまらぬ胸のかげ たゆたひつ すみかねつ さはされど 安らかならぬ隈なし 沈黙(しじま)の夜半(よは)よ 白き輝(かがやき) たヾありぬ 白き輝(かがやき) 月ならず我ならず 夢と真(まこと)の淵に住む |
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これも露風の書き下ろしの詩につけた1919年の歌曲。ダイナミックな旋律が迫力ある歌曲です。詩は幻想的な情景描写ですが、不思議な転調を重ねてその雰囲気を醸し出します。
( 2015.09.22 藤井宏行 )