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ふるさとの    
 
 
    

詩: 三木露風 (Miki Rofuu,1889-1964) 日本
    廃園(1909) − 5.廿歳までの抒情詩  ふるさとの

曲: 石桁真礼生 (Ishiketa Mareo,1916-1996) 日本   歌詞言語: 日本語


ふるさとの
小野の木立に
笛の音(ね)の
うるむ月夜や

少女子(をとめご)は
熱きこゝろに
そをば聞き
涙ながしき

十年(ととせ)経ぬ
同じ心に
君泣くや
母となりても



昭和37年の作曲だそうです。同じ詩には斎藤佳三の日本情緒あふれる作品があり、そちらの方が圧倒的に有名ですが、「初恋のいたみを遠く思いいづる」越谷達之助の啄木につけた「初恋」の曲のように甘酸っぱい痛みを甘美なメロディで優しく包むという点ではこの石桁作品にも捨てがたい魅力があります。残念ながら石桁の作品自体が彼の没後20年近くなってきて忘れられてきつつあるので耳にするのは厳しいところもあるのですが、この曲についてはYoutubeにもいくつか演奏がアップされています。著作権の壁が微妙な影を落としていますけれども、ネット上でこういう文化遺産のアーカイブを残して置くというのはとても貴重なことだと、そういう投稿に出くわすたびに思います。

( 2015.09.20 藤井宏行 )


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