少年 |
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夕ぐれ とある精舎の門から 美しい少年が帰つてくる 暮れやすい一日に てまりをなげ 空高くてまりをなげ なほも遊びながら帰つてくる 閑静な街の 人も樹も色をしづめて 空は夢のやうに流れてゐる |
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昭和6年の作曲。三好達治の詩につけた歌曲の中ではかなり古い方に属するのではないでしょうか。夕暮れの幻想的な雰囲気の中、息を呑むような優しいメロディが紡ぎだされて行きます。詩は1930年(昭和5年)に出版された詩集「測量船」から。諸井も出版されたての詩から選び出したのですね。若くして亡くなったカウンターテナー藤岡宣男の歌った、天国的に美しい歌声がYoutubeにアップされていました。2002年のライブ録音です。
( 2015.04.18 藤井宏行 )