淡月梨花の歌 四つの抒情歌 |
|
かなしく白くうつくしく わが心 そぞろなれ あはでむなしく過ぎにける 汝(な)がむかしこそ憾(うら)みなれ 夕月あはき梨花にして 汝(な)がたてるこそ切なけれ ああ かかる日に君をみて かたりし人ぞ嫉(ねた)ましき |
|
この儚くも美しい恋歌には大中恩の実に流麗なメロディの歌があり、こちらの方が良く知られているかも知れません。ですが市川18歳の年(1930)の幻想的にして熱い歌も捨てがたい魅力にあふれています。佐藤春夫35歳の時に出版された「佐藤春夫詩集」より。ここで描写された日本情緒あふれる美人は谷崎潤一郎夫人で元芸者の千代であろうと言われています。
( 2015.04.12 藤井宏行 )