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Paavalin laulu   Op.44  
  Kuolema
パーヴァリの歌  
     劇音楽「クオレマ」

詩: ヤーネフェルト (Arvid Järnefelt,1861-1932) フィンランド
      

曲: シベリウス (Jan Sibelius,1865-1957) フィンランド   歌詞言語: フィンランド語


Pakkanen puhurin poika
Talven poika hyyelmöinen
jäädät maita jäädät soita,
jäädät kylmiä kiviä,
etpä jäädä ihmismieltä
etpä ihmisen sydäntä!

Et kylmä inehmon mieltä
jäädä et ihmisen syäntä
syömmessä on hengen lämpö,
tuli rinnassa ripeä,
povessa palava poltto
valkean vapauden kuume!

Minkä kylmät,virvoittavi
sykkivän sydämmen lämpö,
minkä jäädät,sulattavi
lauluni lakean voima,
poveni palava poltto,
valkean vapauden kuume!

木枯らしよ 北風の息子よ
凍てつく冬の息子よ
大地を凍らせ 沼を凍らせ
冷たい岩をも凍らせる
だが凍らせられぬ 人の魂は
人の心は!

冷たさを感じさせもできぬぞ 人の魂には
留まれぬのだ 人の心には
心には 魂の暖かさ
急速に胸に届き
心の奥の燃え立つ熱気が
真の自由の熱気があるのだ!

凍りついたものも甦るのだ
脈打つ胸の熱によって
凍れるものも 融けて行く
この歌の力によって
わが胸には燃え立つ熱気が
真の自由の熱気があるのだ!

1903年 義理の兄アルヴィド・ヤーネフェルト(1861-1932)の戯曲「クレオマ」の伴奏音楽を依頼されたシベリウスは6曲からなる音楽を彼のために書き、その年の12月に初演しています。
劇音楽としては長らく忘れられてしまったようで、BISレーベルにあるオスモ・ヴァンスカ指揮のラハティ交響楽団の演奏が世界初のレコーディング(1997)とライナーに書かれておりました。もっとも、この劇音楽の第一曲目はシベリウス屈指の名旋律として大変な人気を博し、のちに改訂を施されて独立した管弦楽曲として頻繁に取り上げられております。
それが「悲しきワルツ」、どん底の悲しみに浸りこむのではない典雅な味わい深い調べがことのほか印象的な傑作です。
残念ながらこの曲には歌がついておりませんのでここでは取り上げることができませんが、2曲目と3曲目には歌がついておりますのでこのサイトの対象ということで取り上げることと致します。
第1幕でまだ若いパーヴァリが母親の病床にいるとき、死神に魅入られた母親が踊るのがこの「悲しきワルツ」、亡き夫の姿を借りた死神に誘い出されて行きます。
第2幕では成長した旅するパーヴァリが真冬に魔女の小屋を訪ねますが、御紹介のこの曲はその際に歌われるもの。若者の憧れと情熱にあふれたたいへん美しい曲です。分厚い弦楽の伴奏のメロディも見事。
病に臥せっていた魔女の世話をしたパーヴァリはお礼に指輪を与えられ、それは彼に未来の花嫁エルザの姿を映しだします。「エルザの歌」はそこで歌われる曲。曲の中間部にちょっとだけ現れる歌詞はヴォカリーズですので御紹介しませんが幻想的な雰囲気あふれるゆったりとしたテンポのこちらも素敵な曲です。
魔法から目覚めるとパーヴァリはエルザと森の中でふたり。なお旅を続けようとする彼をエルザが引き留めようとすると空から鶴が降りてきて二人に赤ん坊を授けます。1分足らずの短いここの部分の音楽ものちに改訂されて「鶴のいる情景」として別の曲となりました。
第3幕はそれから何年も後、社会貢献に邁進する彼ですが、そんな彼の家を火事が襲います。
焼け落ちる家の中にひとり取り残されたパーヴァリ。死にゆくパーヴァリの前には、かつて母の前に父が現れたように、亡き母が迎えに現れたのでした。ここでの音楽には彼の歌った歌の断片が中音の弦のメロディに織り込まれています。
最後には静かに教会の鐘が鳴る中、彼を偲ぶ人々の情景で幕となります。
冒頭でご紹介したオスモ・ヴァンスカ指揮のラハティ交響楽団の演奏でしかこの形の全曲は今でも聴けないかも知れませんが、魅力的なシベリウスの音楽の詰まった素敵な録音だと思います(併録はこれも珍しい「カレリア」全曲で、こちらも世界初録音とクレジットにはありました)。北欧の音楽のお好きな方には必聴の盤ではないでしょうか。

( 2015.02.14 藤井宏行 )


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