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Easter    
  Five Mystical Songs
イースター  
     5つの宗教的な歌

詩: ハーバート (George Herbert,1593-1633) イングランド
      

曲: ヴォーン=ウィリアムズ (Ralph Vaughan Williams,1872-1958) イギリス   歌詞言語: 英語


Rise heart; thy Lord is risen. Sing his praise
Without delays,
Who takes thee by the hand,that thou likewise
With him may'st rise;
That,as his death calcined thee to dust,
His life may make thee gold,and much more,Just.

Awake,my lute,and struggle for thy part
With all thy art.
The cross taught all wood to resound his name
Who bore the same.
His stretched sinews taught all strings,what key
Is best to celebrate this most high day.

Consort both heart and lute,and twist a song
Pleasant and long:
Or since all music is but three parts vied,
And multiplied;
O let thy blessed Spirit bear a part,
And make up our defects with his sweet art.

立て、心よ!汝の主がよみがえられた。主を讃えて歌え
ためらうことなく
汝の手を引いてゆく主によりて、汝もまた
主と共によみがえるのだ:
すなわち、主の死は汝を焼き尽くし灰とするように
主の復活は汝を貴きものにと変えるのだ、より一層素晴らしきものに

目覚めよ、我がリュートよ、汝のパートを奏でよ
全ての技を振り絞りて、
十字架はリュートの共鳴板にかの方の御名を響かせることを教える
同じ御名を継がれたお方の
そしてかの方の張りつめられた腱は全ての弦にどのキーが
この素晴らしき日を祝福するのに最もふさわしいかを教えるのだ

心とリュートを共に響かせて、歌を紡ぎ出すのだ
楽しく長い歌を
すべての音楽は三つのパートが競い合い
そして掛け合わさっていくものなるがゆえに
おお、汝の祝福されし魂もその一パートを担い
我らが弱さを主のやさしき芸術で埋め合わせるのだ


キリスト教でクリスマスの次に重要な行事といえば、やはり何と言ってもイースター(復活祭)でしょう。十字架にかけられたイエスが復活されたことを祝う祭ですが、この復活はまさに春のイメージ。実際長く厳しい冬を終えたヨーロッパでは、この復活祭の頃は心から祝いたくなる新しい命の息吹きの季節です。
このイースターを題材とした曲を探して見たのですが、なかなか手元にはありません。中で一番美しく、感動した曲はこのヴォーン・ウイリアムスのバリトン独唱とピアノ、弦楽4重奏からなるこの曲です。
弦とピアノに独唱が重なるという編成の曲は意外と少ないように思うのですが、非常に美しい効果を上げています。
(初演はバリトンのソロに合唱のついた管弦楽伴奏というゴージャスなものだったのだそうですが、私はこの編成のほうが好きです。またピアノだけの伴奏による版など他にも色々な形態で演奏されます)
詩は16世紀のもので非常に意味が取りにくく、キリスト教の知識に乏しい私にはかなり手に余るものではありましたが、なんとなく分かる範囲で訳してみました。詩人のハーバートは音楽もお得意だったそうで、この詩にも音楽のアナロジーが巧みにちりばめられています。
MeridianレーベルにあるOxenhamのバリトン、Bingham弦楽4重奏団にDurranのピアノで入れられたもので聴いていますが、実に美しい。同じイースターではイギリスの知られざる歌曲の大家Somervell(ソマーヴェル)の、ブラウニングの詩に付けた復活祭の歌なども聴けて良いです。

( 2002.4.22 藤井宏行 )


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