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北の海    
  三つの抒情
 
    

詩: 中原中也 (Nakahara Chuuya,1907-1937) 日本
    在りし日の歌 (1938)  北の海

曲: 三善晃 (Miyoshi Akira,1933-2013) 日本   歌詞言語: 日本語


海にゐるのは
あれは人魚ではないのです
海にゐるのは
あれは 浪ばかり

曇つた北海の空の下
浪はところどころ歯をむいて
空を呪のろつてゐるのです
いつはてるとも知れない呪

海にゐるのは
あれは人魚ではないのです
海にゐるのは
あれは 浪ばかり



中也の詩集「在りし日の歌」より。中也の詩は歌にするのに人気がありますが、この曲は特に良く取り上げられているように思います。幻想的な海の情景をロマンティックに描き出す歌が多い中、この三善の曲は激しいリズムに乗せて快速に駆け抜けるかなり異色の音楽。初めて聴いたときにはかなり違和感がありましたが、詩をじっくりと読み込みながら繰り返し聴くと実に説得力のある見事な作品だと思えるようになりました。

( 2014.10.31 藤井宏行 )


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