歌ひとつ -暗い心の夕暮れに- 立原道造による四つの歌 |
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そして 私は だれに そのあとめぐりあつたのだらう? やさしく私はよびかけ 答へるやうに やはらかな瞳は私にささやいた 知つた いくつの おそれとをののきと 私はもうひとりではゐなかつた! とほつて行つた たそがればかりの とほい町々―私の心はうたつてゐた 来る日々の 夢とにほひと夜々とを よろこびとかなしみとのしらべで…… 時は しづかに ながれて過ぎた そして 私は だれに そのあと別れたのだらう? なぐさめもなく あきらめもなく! |
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別宮作品から立原道造の詩による歌曲をもうひとつ取り上げます。これも鮫島有美子さんの「日本歌曲選集U」のCDから。本当に良い企画だったのですが第5集までで終わってしまいました。私もこれで初めて知った日本歌曲の絶品がたくさんあって、感謝してもしきれないくらいの恩恵を受けております。
さて、立原のこの詩、この詩人にしてはかなり激しい感情をむき出しにしているようです。別宮のつけた音楽もそんなわけでかなりダイナミック。迫力のある歌になっております。
( 2014.10.25 藤井宏行 )